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やまとside
エントランスのインターホンを鳴らす。
やまと「でない」
ひゅうが「どうする?」
やまと「いや、合鍵持ってるからそれで入る。」
エントランスを開けて、エレベーターに乗り込みAの部屋の前でもう一度インターホンを鳴らす。
やはり応答がない。
急いで合鍵でドアを開ける。
いつもこの家を照らしてくれるAの姿はこの家にはいない。
真っ暗な廊下を進み、手当り次第電気のボタンを押す。
ひゅうが「うわ!」
やまと「なんだこれ、、、」
いつも整然としている部屋に、散りばめられたダンボールと紙類、そしてクマのぬいぐるみ。
Aは洗うのめんどくさいからとぬいぐるみを一切部屋に置かない。
ひゅうがは何気なくクマのぬいぐるみを持ち上げる。
ひゅうが「これなんかおかしくね?」
やまと「何が?」
ひゅうが「ちょっと持ってみなよ。」
クマのぬいぐるみを受け取ると、頭の部分とは明らかに違う材質のジャリジャリとした手触りとその重さにビックリする。
「確かに」と言いながら、何気なくくまの背中を見てみると1度開けて赤い糸で縫製された跡がある。
やまと「これ、絶対にAのじゃない。しかもおかしすぎるから持って帰って開けてみたい」
ひゅうが「うーーん聞いてみた方がいいと思う。一旦置いとこうよ。」
やまと「それもそうか…」
冷静さに欠けた俺にストッパーをかけてくれる。
そしてひゅうがはしゃがみ込んで、散らかった紙をめくって確認する。
ひゅうが「手紙と写真だ。手紙は恐喝、しゃしんはAさんの方だけ酷いことになってるわ」
やまと「まじか、、、、、俺のせいじゃん…」
ひゅうが「お前のせいではないよ」
やまと「……」
俺が付き合わなければ、俺がもっと危機感持って行動してれば、俺が……俺が……。
自分を責める言葉が止まらない。
そしてこの家にはAがいないという事だけが分かって、とりあえず明日の朝までAの連絡を待つことにしてこの家をあとにした。
帰りの車、Aにずっと電話をかけている俺をひゅうがにとめられる。
「明日の朝、連絡が来るって信じて俺らは俺らのやることやるしかない」というひゅうがの言葉にハッとさせられる。
300万人が俺らを待ってる。
やることは山積みだった。
身が入らない、不安だという気持ちと、メンバーや大人の人に迷惑をかけられないという気持ちの狭間で夜を越えた。
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おかゆ(プロフ) - ルリさん» きゃーうれしい( ;; ᷇࿀ ᷆ ;;)ありがとうございます!! (2022年9月10日 21時) (レス) id: 96c0028693 (このIDを非表示/違反報告)
ルリ - え、、待ってこの物語めっちゃ好き (2022年9月10日 20時) (レス) id: 988147937c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おかゆ | 作成日時:2022年8月21日 19時