あまい香り (ページ45)

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貴方side

目を覚ますとなんだか知らない部屋だ。
ぼーっとする頭をしばらくそのまま放置すると、いい香りが漂ってくる。

そうだ。
昨日はやまとくんの家に泊まったんだ。

ベットからでて、伸びをしてると部屋の扉が開き「おっ」と小さく声をあげてやまとくんが入ってくる。

「おはよ」
やまと「おはよ〜」

やまとくんは伸びをしている私に抱きついてくる。
上に伸ばしている腕をそのままやまとくんの首に回す。
頬擦りをしてきてちょっと擽ったい。

やまと「朝ごはん作った！！」
「え！つくれるの、、、？」
やまと「パン焼いて、サラダを袋から出しただけだけど、、」

そう言って私の手を引いてリビングに連れていく。

「わ、すごい！！！顔洗って歯を磨いたら食べる！」

「まってるね、」と言っているやまとくんに背を向けて部屋を出る。
やまとくんの部屋は思ったよりも片付いていて広かった。

「おまたせ。」

そう言って席に着くと、2人で手を合わせて食べ始める。
作ってくれたツナマヨトーストが口の中で広がる。
私の反応を伺っているやまとくんに感想を告げる。

「おいしい〜」
やまと「よかった、、！！」

頬を緩めて笑顔でこちらを見る。
「幸せ、、、」そう呟くと、「俺も」と言って和やかな朝をすごした。
ご馳走様と2人で手を合わせて朝ごはんをおえる。

「ん！待って今何時？！」
やまと「10時だよ。」
「まずい！！！午後から仕事！一旦家に帰らなきゃ、、」

そう言っていそいそと帰る支度を始めると、やまとくんも仕事なのだろう。ヘアセットや、着替えを始めた。

やまと「送るね。」
「ありがとう！！あと30分後にお願い！！」

そう言ってバタバタと走り回る私を笑いながら追いかけている。
久々にこんなにゆっくりな朝をすごした。
そのしわ寄せが今来るのが分かっていたとしても、私はもう一度ゆっくりとしたそして幸せな朝を過ごす事を選ぶだろう。