あまい香り (ページ40)

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貴方side

最後に放たれた安藤からの一言に気を悪くして返事もせずに車の戸を閉めた。

やまと「今の何？」
「気を悪くさせちゃってごめんね、大手の会社の専務でしつこく引き抜こうとしてきてて、、」
やまと「Aさんは悪くないし、怒ってない。でも、気をつけてね。」

優しい言葉を私に投げかけると、やまとくんは頭を優しく撫でてくれる。
そんな行動も久々だと感じると思ったことが口から溢れる。

「はあーーーーー。会いたかった。だいすき。今日もイケメンだね。早くハグしたい」

私が一息で捲し立てると、やまとくんは「フハッ」と吹き出して言葉を続ける。

やまと「Aさんも会えないと寂しくなったりするんですね。クールなAさんだった時から想像もつかないような言葉。」

そう言って笑う彼の横顔に見とれるしかできない。
目を離せずにいると、車は赤信号で停車してやまとくんはこちらを向く。
唇を突き出せば、優しくキスをしてくれる。

ちょっと照れるような顔をした彼はいつもの癖で自分の首を摘む。そんな姿はなかなか見れないな。
新しい表情にまた癒される。

やまと「俺ん家に泊まれる？」
「服を貸してくれるなら。」
やまと「やったあ。」

そう言うとまた車を走らせる。
人通りも車の通りもある都会の夜。
過ぎ去っていく対向車のヘッドライトがやまとくんの輪郭を縁どっては消えていく。
あまりに美しい横顔は私を魅了するには充分すぎる程だった。