あまい香り (ページ39)

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貴方side

「こんな大手のお偉いさんが私に何か御用でも、、、？」
安藤「クライアントからクレームがあった時あなたの名前がでたんですよ。」
「はぁ、、」
安藤「あなたのデザインと仕事の早さを見習えと。」

私には安藤さんが何が言いたいのか全くわからず気の抜けた返事しか出来ずにいた。
そんな私に痺れを切らしたのか、安藤さんは前置きに「単刀直入に言うと」と前置きを述べ、言葉を続けた

安藤「一緒に働きませんか？」
「いいえ。」
安藤「そんな即答で」
「フリーランスになる為に会社で働いて独立したのに会社勤めに戻ったら今までの時間がもったいない事ですから。」

そう返事をして、私は居心地が悪くなり会場を出ていく。
やまとくんに「もう帰ろうかな」と連絡をすると直ぐに既読がついて、「〇〇ホテルだよね？すぐ行くね。」そう返事が返ってきた。

やまとくんちからも事務所からも近いホテル。
すぐ着くよなーと思いながらエレベーターに乗り込む。

「ちょっと待ってください」

そう言って先程の男、安藤が乗り込んでくる。
私は居心地の悪さにガラス張りになっている外を眺めていた。

安藤「もう帰られるんですか？」
「ええ。知り合いへの挨拶は済みましたので。」
安藤「家はこの辺ですか？よかったら車をお出ししますよ。運転手つきの」
「結構。」

そんな会話をしながらエレベーターが1階につきエレベーターを降りる。
そんな私を追いかけてくる安藤。
エントランスを出たところで、くるりと振り返り「どこまで着いてくるおつもりでしょうか？」と声をかける。

すると安藤はニヤリとして口を開く。

安藤「貴方がこちらの会社に入ってくれるまで…ですかね？」

ため息をついて、独立するために勉強したこと、フリーランスで安定した収入を得られていること、お金には困ってないと伝えやまとくんが来るはずである方向をちらりと確認する。

安藤「お迎えですか？」
「ええ。」

迎えを確認しながら、呆れたようにそう返事をする。
しばらくするとやまとくんの車が現れメンバーから『チョロQ』といじられてるのを思い出してフフっと笑う。

やまとくんが窓を開けて「Aさん！おまたせー！」と言いながら車を停めてくれる。
ニコニコのやまとくんに釣られてこちらまで笑顔になってしまう。

その車に近寄り乗ろうとすると、後ろから安藤が話しかけてくる。

安藤「貴方には高級なものがお似合いですよ。車も、男も。」