あまい香り (ページ20)

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貴方side

怒涛の打ち合わせラッシュを終えて、ヘトヘトになり最寄りの駅に着く。

お昼も食べれなかったし、夕飯を食べて帰ろうと飲食店に向かうと、途中で若い子に話しかけられる。

女子「すいません」
「私ですか？」
女子「はい。コムドットのやまとくんと付き合ってるんですか？」
「えっ」

若い女の子の目には怒りのようなものを感じて思わず怯んでしまう。
そして、不意をつかれた質問に考え込んでしまう。
これは私が勝手に言っていい事ではないはずだ。

「いえ。付き合ってないです」
女子「じゃあ、もうやまとくんに付き纏うのやめてください」
「えぇ、、、？じゃあ貴方達もやまとくんの友達である私の最寄りを特定してやまとくんに迷惑かかるって思わないんですか？」
女子「それは関係ないです。とにかく貴方が付き纏ってリークされて活動に迷惑がかかってます」
「想像力豊かだね。」

駅前で言い合いをしていれば、人だかりができてくる。
ああまずい。目立つわけにはいかないんだ。
やまとくんに迷惑がかかってしまう。

「とりあえずまた今度お話しましょう。私は逃げも隠れもしませんから。」
女子「ふざけんなよ！！！！！」

足早に去ろうとした時、急に女の子が大きな声をだす。
思わず駆け寄って、自分の唇に人差し指を当てて「しー」と諭す。

女の子からは大粒の涙が溢れている。
私は動揺してバッグに入っているティッシュとハンカチを取り出して涙を拭う。

「ごめんね、ごめんね、大丈夫？」
女子「うぅっこんなにずっと好きだったのにっ急に現れた女にっあっさりっ、とられて、リークされてっ」
「そうだね、辛かったね。ちょっと待ってて。お水買ってくるね。」

そう言ってハンカチとティッシュを渡して、近くの自販機に水を買いに行く。
その隙にやまとくんにラインを入れる。

A最寄りでやまとくんのファン泣かせちゃった、、、

そして、その女の子の元に戻り、駅前にあるベンチに座らせる。
女の子に水を渡して、トントンと背中を叩く。

女子「どうやって、一般人のあなたがやまとくんと知り合ったの？」
「お友達の紹介だよ。私からも聞いていい？」
女子「なに？」
「どうやって私の最寄りを特定したの？」
女子「車の中に2人で乗っている目撃情報と、その車の停車位置、リークされた写真とTwitterのアイコンから辿った…」

ゾッとした。
私がいかに無防備だったのかを思い知った。