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やまとside
Aさんの元彼に会うために今、車を走らせている。
待ち合わせ場所はAさんの家の近くのコンビニらしい。
「やまとくん、一緒に来てくれてありがとう」
やまと「いや、心配だし！」
そう口には出すが、実際は嫉妬心から動いていると言っても過言ではない。
一目惚れをした相手の元カレ。
復縁なんてしたら俺の希望は一切絶たれてしまう。
夜中の道路。
等間隔で並んだ街灯が照らしてくる明かりさえ、俺の心を焦らせてくるようだった。
「着いたよ。一旦こっそり降りてくれる？」
やまと「分かった。」
「入口のところ立ってて。中に探しに行ってくる。」
そう言ってAさんがコンビニに入って行くところを見ることしか出来なかった。
そうして出てきた2人は何やら口論をしている。
優希「いや俺は出てったつもりは無い」
「でも、元々そういう暮らしをしてたでしょ？色んな女のところを点々と…」
優希「でもいつも最後はAの所に帰ってたでしょ？」
「いつ帰ってくるかも分からない男に用意しておく場所はないよ。」
優希「じゃあ、200万でいいよ。」
「え？」
優希「手切れ金」
「……わかった。」
そう言って、コンビニに入っていくAさん。
俺は後ろを追いかけたATMの前にいるAさんに声をかける。
やまと「なんで……」
Aさんは涙を貯めながら黙ってATMを操作する。
コンビニのATMから引き出せる20万をMAXでおろし、それを封筒に入れてまた元彼の所へと帰ろうとする。
その手を掴んで止めると静かに「離して」と言って足を止める。
やまと「でも、手を離したら行っちゃうでしょ？」
俺の方に振り返ったAさんは頬に一筋の涙を流していた。
それを拭おうと、手を伸ばしそっと頬に触れるとそっと目を閉じた。
優希「誰だよその男。」
低い声を出しながら近づいてくる元カレ。
俺はAさんを後ろに隠し、「一旦外に出ましょう」と促す。
舌打ちをしながらもそれに従う。
優希「で、誰なんだよ。こいつは。」
「……と、」
やまと「彼氏です。」
優希「コイツはまだ俺と別れてねぇんだよ。」
「ちょ、やめて。」
俺の前に出て、口論を止めようとするAさん。
そして、「これ…」と言って封筒に入った20万を渡す。
「こんびにじゃ、20万までしか下ろせないからまた後日残りの180万を渡すから。」
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作者名：おかゆ | 作成日時：2022年8月14日 20時
