#15 ページ15
Aside
いよいよ今日は、私の両親に事の全てを話し元カレを断ち切る作戦の決行日。
今日は私が先にマンション下でりょうくんを待っていた。かっこいいオープンカーが来たと思えばサングラスを外して笑顔を向けてくれる。
り「おまたせ。」
『いつもありがとう!』
こんな日に思うのも、おかしいかな…
でも、会えて本当に嬉しい。
そう思いながら、車に乗り込めば無意識にニヤニヤしていたのかりょうくんに「そんなに解決するのが楽しみなの?」なんて言われる。
『それもそうだけど、りょうくんに会える時はいつも嬉しいわ!』
そう言って笑えば、一瞬固まって小声で言う。
り「不意打ちはずるすぎ。」
その声は私には届かなかった。
『ただいま。』
ドアを開けてそう言えば、父と母がリビングから来て出迎えてくれる。
ママ「待っていたわよ。言ってたお友達ね?」
『そう!こちらはりょうくん。』
り「本日はお邪魔します。」
玄関では一言も発さない父に少し不穏な空気を感じたが、りょうくんの「親御さんには絶対気に入ってもらわないと俺の言葉を信じてもらえなくなる。」という言葉を思い出してリビングに向かう。
ソファに座って、少しの沈黙が流れた。
その沈黙を破ったのは父だった。
パパ「話があって来たんだろ?A。」
『うん。あの…学生の時のユウスケって覚えてる?』
確認すれば頷く父と母。
そして父は話し始める。
パパ「あの、どうしようもないヤンキーのことだろう。なんで今あいつの話が出るんだ。」
父の鋭い視線にたじろいでいれば、隣に座っているりょうくんが背中に手を当ててこちらを見てにこりと優しい笑顔を向けてくれる。
『前に…、本当に前に、付き合ってた事があったの…』
ここまで話せば、ショックを受けてる父と母が目に入る。
なにも言えずに固まっているとりょうくんが口を開いた。
り「Aさんは今、その元恋人と付き合っていた事を後悔しています。さらに、その方からお金を取られています。」
端的に説明をすれば、付き合っていたという話のショックはどこかに飛んでいったように父と母から明確な怒りを感じる。
パパ「なんで、そいつと縁を切らないんだ!」
り「その方がお金を渡さなかったら父親に言うぞと、脅していたからです。Aさんはお父さんを傷つけたくない一心で誰にも相談せずにいたんです。」
りょうくんの言葉にまた沈黙が続いた。
212人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おかゆ | 作成日時:2020年10月25日 21時