10:食い違い。 ページ10
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「お、やっと起きたね」
『……貴方は、探偵社の、、』
Aはしばらくして目を覚ました。
何故此処にいるのか、少し戸惑っているようにも見えた。
「与謝野晶子、探偵社員だよ。ほら、これでも飲みな」
『ありがとうございます、与謝野さん』
Aはそういえば名前は聞いてなかったな、と呑気なことを考えながら、出されたホットミルクに口をつけた。
与謝野はその様子を見て、安心した。
どうやら意外と落ち着いているらしい。
『あの、何故私は此処に?』
「アンタが出て行ったのをウチの社員が追いかけてってね。それで連れて帰ってきたってわけだ」
『見ず知らずの私を?』
Aは不思議でならなかった。
彼女は川に飛び込んだのだ。
つまり、彼女を連れ帰った人物だってそうしたに違いない。
「今度は入水かい?」
『気づいたら、そんな気持ちになってました』
「ふうん」
ヘラっと笑う彼女に、返す言葉が見つからない。
ましてや、どうせ死ねないのに何故?、だなんて聞けるはずがなかった。
根拠がなくとも、聞いてはいけない部分だと思ったのだ。
「太宰が話したいと云っていたんだが、今から大丈夫そうかい?」
『太宰さんが?』
Aは眉をひそめた。
此処で出会った時、彼らはまともな会話をしなかった。
きっと二人の間には何かがある、そう与謝野は思った。
『与謝野さん』
「ん?」
与謝野を呼んだAは、無表情だった。
『太宰さんは私のこと、恨めしそうでした?』
「…そんなこと、無かったよ」
何故そんな言葉が出てくるのか。
太宰はAの事を心配していた。
彼らはどこかで食い違っている。
『あの人はきっと、、私を恨んでる』
Aは泣きそうに笑った。
「大丈夫。考えすぎなだけさ」
何も知らない与謝野は、ただそう云うことしかできなかった。
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河瀬(プロフ) - 久しぶりに心を締め付けられる作品を拝見しました…!もう涙腺崩壊です(つД`)ノありがとうございました!! (2018年12月28日 10時) (レス) id: 4d532e1b9e (このIDを非表示/違反報告)
かん。 - コメ失礼します! 凄く良作で文才が素晴らしいですね…文才わけて欲しい位です(笑)感動し過ぎて涙が止まらなかったです!! 素晴らし過ぎて語彙力無くなりました… (2018年6月17日 21時) (レス) id: 1ce36ab38c (このIDを非表示/違反報告)
夢らら(プロフ) - 完結おめでとう! (2017年11月12日 13時) (レス) id: 3821086925 (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダノオロチ(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした。すごくメッセージ性のあるお話で、心に残りました。とても素敵な作品をありがとうございました。 (2017年11月12日 7時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - どんぐりさん» 嬉しいコメントありがとうございます!そう言って頂けると感激して泣きそうです!(笑) (2017年11月12日 1時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろろみや。 | 作成日時:2017年10月31日 0時