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124:同じ思考。 ページ5

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No side







「夏目先生が造った黄金の好機。潰す訳にはいかないよ」






谷崎と回線を繋げた太宰は、彼に状況の説明を要求する。





街は探偵社とマフィアが目を光らせている為、ドストエフスキーはこの潜窟に籠る他ないのだ。







「太宰さん!廃坑北部から車が出てきました!」







暫くすると、谷崎が声を上げる。




逃走用の車両と思われる車が、廃坑から三台出現。





だが太宰は、それを無視するように指示する。





囮だと言い張る太宰に、谷崎は疑念を抱く。








「でも、本物かも、、囮と断じる根拠は何です?」


「私ならそうするから」







少し躊躇するも、谷崎はそれを信じた。





その言葉は何処か、説得力があったのだ。






次には、廃坑の西側から幌車が現れる。





しかし太宰は、それも無視するように指示を出した。





その後には南東部から数名の武装兵。





頭巾の人物を護送しており、これが当たりかと思われた。






「無視だ」


「ですが、、」


「あの魔人の捕縛だ。手勢は一人でも無駄に出来ない。無視だ」







食い下がる谷崎に、太宰は低い声で云った。





太宰は誰よりもドストエフスキーの事が判っている、はずなのだ。





今度は国籍不明のヘリが現れる。





すると太宰は、地上の人影について問うた。





地上には遮光帽子で顔を見えない人物が一人。







「それだ」


「え?」


「全員でその登山客を拘束。森さんの兵も動かせ、大至急だ」


「は、はい!」






突然の指示に、谷崎は困惑するものの、云われた通りに動く。






指示を出した太宰は、真剣な表情で次の言葉を待っていた。







『治』







その間、ひたすら黙って話を聞いていたAが少し慌てたように口を開いた。





彼女は、太宰よりも先に何かに気付いたのだ。








『もし、治とドストエフスキーが同じ思考を持っているとするなら、』



「太宰さん!」







Aの言葉と共に、谷崎からの連絡も入った。







それでもAは口を閉ざす事はしない。








「違います!登山客は喉を潰されて枷を嵌められています!」







『そんな行動はとらない』







「ドストエフスキーではありません!」









ほぼ同時に聞こえた両方の言葉。









太宰の読みは、外れたのだ。







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125:決着の時。→←123:仲間の信頼。



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あま - ろろみやさんの小説の書き方が好きすぎます…更新楽しみにしてます!! (6月11日 14時) (レス) id: 5e7c571022 (このIDを非表示/違反報告)
K_564_(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。楽しみにしてます。 (2021年9月15日 8時) (レス) id: fc84761046 (このIDを非表示/違反報告)
リコリス - 最高です!!ガチで好みドンピシャでこれからも応援しています! (2020年12月20日 22時) (レス) id: 1d622cff2e (このIDを非表示/違反報告)
なつ - 応援してます!続き楽しみにしてます! (2020年12月8日 18時) (レス) id: 20aa66a13b (このIDを非表示/違反報告)
にし - コメントはしたことなかったですがずーーっと応援しています。是非続きをかいていただきたいです。待ってます。 (2020年10月11日 14時) (レス) id: 9522be8e35 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ろろみや。 | 作成日時:2017年10月1日 0時

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