19*:芥川龍之介。 ページ19
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三発の銃声が響き渡った。
芥川の額を、汗が滑り落ちる。
「へえ、やれば出来るじゃあないか」
弾丸は、芥川のぎりぎり手前で静止していた。
太宰が何度も教えてきたように、芥川の異能で止めたのだ。
しかし、異能で銃弾から身を守った芥川の表情に余裕はない。
「何度も教えたろう、そうやって防御に使う事も出来る筈だって」
「これ迄、、この防御に成功した事は無かった」
そう、芥川の言う通り、空間を断絶し、防御をする事は今まで一度たりとも成功した事が無かった。
そうと判っていて容赦なく撃った太宰は、芥川が防御に成功すると判っていたからなのか、はたまたこれで死んだらそこまでだと思っていたのか。
彼の心の内を知る者はいない。
「次しくじったら、二回殴って五発撃つ。いいな」
太宰の声は氷より冷たかった。
そして、太宰は芥川に背を向け、部下たちに死体を調べるように指示した。
途端、それを見計らったように小さな足音が芥川の方へと向かった。
太宰は気づいていてもなお、それを止めなかった。
『大丈夫?』
「あぁ」
Aは腫れた頬に手を伸ばして云った。
すると、芥川の黒外套は静かに元へ戻っていく。
Aの異能、無効化だ。
プライドの高い芥川は、他人に心配される事を極度として嫌う。
が、Aに対して拒絶しないのは、彼女が自分を見下している訳ではないと判っているからだ。
Aは決して、本心と違う事は云わない。
否、言えないのだ。
彼女の年齢を考えれば妥当だと思われるが。
「A、おいで」
『うん』
太宰に呼ばれ、芥川から離れるA。
芥川は太宰に認められたい、そうは思っていても、何故か自分より彼に認められているその少女のことは憎く思わなかった。
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ろろみや。(プロフ) - エンジョイ勢さん» うわわ、本当ですね!!!ご指摘、ありがとうございます!! (2017年8月18日 23時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
エンジョイ勢 - 夢主ちゃん、めっさ可愛いですね。訂正させて頂きたいのですが33の今までの○○なら絶対云わないの今までが今でになってますよ?更新頑張ってください! (2017年8月18日 22時) (レス) id: 670574c7a9 (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - ムクさんさん» ありがとうございます!続編もよろしくお願いします! (2017年7月3日 1時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
ムクさん - スッゴくおもしろいです。がんばってください (2017年7月3日 0時) (レス) id: 76af138a5e (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - YYYさん» 応援ありがとうございます!読んで頂けて、嬉しいです!! (2017年6月4日 22時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろろみや。 | 作成日時:2017年6月3日 23時