18*:彼の部下。 ページ18
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太宰とAは階段を歩いていた。
薄暗い地下へと続く階段だ。
二人は地下室を無言で横切り、奥にある特別収監房に向かった。
そこに転がる、三人の死者。
血液だけがゆっくりと床に広がっていた。
死んでいたのはミミックの兵士だった。
「説明が欲しいな」
太宰は云った。
その問いに部下の一人が答えるが、太宰が聞きたいのはそこではない。
「想像よりも早く目を覚ました兵士が仲間の兵士を射殺しました。そして我々にも襲いかかってきました。そして、」
「それを僕が処断した」
現れた芥川は、何か問題でも?、という目で太宰を見た。
太宰は、表情を変えなかった。
「不撓不屈の恐るべき敵兵士を倒し、仲間を守った訳だね芥川くん。全くもって素晴らしい」
貴重な情報が聞き出せただろうに、と太宰は続けて云った。
途端、Aは何かを感じ取ったかのように太宰から離れた。
「情報など、連中如き僕が纏めて四つ裂きに」
太宰は云い終わらせなかった。
いきなり芥川の顔を殴りつけた。
鈍い音が、響く。
「きっと君は、私が云い訳を求めているように見えたのだろう。誤解させて悪かったね」
太宰は酷く冷たい目で芥川を見下ろした。
同じ部下でも、Aを冷めた目で見ることは絶対にない。
彼の中で、芥川とAは同じ部下ではあるが、全く別の物なのだろう。
「君、銃貸して」
太宰は部下に向けてそう云い、部下は戸惑いながらも拳銃を渡した。
そして銃口を、倒れている芥川のほうに向けた。
太宰が芥川を撃とうとしているのは明白だった。
しかし、誰も止めには入らない。
黒背広の部下たちは、止めには入れば先に自分が殺される、と怯えた。
Aはどんな事でも太宰が正しいと思っている。
例え、彼の標的が多少なりとも慕っている芥川だとしてもだ。
太宰は容赦なく引き金を引いた。
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ろろみや。(プロフ) - エンジョイ勢さん» うわわ、本当ですね!!!ご指摘、ありがとうございます!! (2017年8月18日 23時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
エンジョイ勢 - 夢主ちゃん、めっさ可愛いですね。訂正させて頂きたいのですが33の今までの○○なら絶対云わないの今までが今でになってますよ?更新頑張ってください! (2017年8月18日 22時) (レス) id: 670574c7a9 (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - ムクさんさん» ありがとうございます!続編もよろしくお願いします! (2017年7月3日 1時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
ムクさん - スッゴくおもしろいです。がんばってください (2017年7月3日 0時) (レス) id: 76af138a5e (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - YYYさん» 応援ありがとうございます!読んで頂けて、嬉しいです!! (2017年6月4日 22時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろろみや。 | 作成日時:2017年6月3日 23時