17*:子供らしさ。 ページ17
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「辛っ!隠し味に溶岩でも入ってるの?!」
『辛い?』
「織田作ちゃんはいつもそれを食べてるよ」
織田は自らが養っている子供達に会った後、一階の店舗へと戻った。
するとそこには太宰とAが来ていた。
織田はAの隣に座り、カレーを食べる彼女の顔を少し覗き込んだ。
『ん?』
「厭、何でもない」
スプーンをくわえたAは不思議そうに首を傾げたが、織田は何も言わなかった。
彼が養っている孤児は五人。
一番下は四歳の少女、一番上は九歳の少年。
Aは彼らと同年代だ。
だが、全くあの子供達のような無邪気さを感じられない。
それはきっと、Aが生きてきた過酷な過去のせいで、そのような子供らしさを忘れてしまったのだと思う。
と言っても、マフィアに来て二年が経った今では、少し、人間らしく、子供らしくなったのだが。
「Aちゃん、だっけ?」
『うん』
親爺は何処か子供らしさの足りないAに声をかけた。
終始無表情な事など、気にしていないようであった。
「良かったら、上の子達に混ざって遊ばないかい?」
『いい、治といる』
「そうかい、気が向いたらいつでも、ね」
親爺はキッパリと言い放ったAに微笑みかけた。
Aは太宰から絶対に離れない。
それは太宰が彼女にできた初めての親しい人間であり、親のようなものだからだ。
Aは自分の親の事は覚えていない。
記憶があるのは、あの湿った部屋の籠に入っていた時からだ。
だからこそ、太宰という存在はAの中で大きかったのだ。
「それで二人はここで何をしているんだ?」
「織田作に例の件の報告をと思ってね」
漸く織田は、太宰に聞くべきことを聞き、太宰は理由とともに話すべき内容を話していく。
そして、全てを話し終えた時。
太宰はかかってきた電話に、不意ににやりと笑った。
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ろろみや。(プロフ) - エンジョイ勢さん» うわわ、本当ですね!!!ご指摘、ありがとうございます!! (2017年8月18日 23時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
エンジョイ勢 - 夢主ちゃん、めっさ可愛いですね。訂正させて頂きたいのですが33の今までの○○なら絶対云わないの今までが今でになってますよ?更新頑張ってください! (2017年8月18日 22時) (レス) id: 670574c7a9 (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - ムクさんさん» ありがとうございます!続編もよろしくお願いします! (2017年7月3日 1時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
ムクさん - スッゴくおもしろいです。がんばってください (2017年7月3日 0時) (レス) id: 76af138a5e (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - YYYさん» 応援ありがとうございます!読んで頂けて、嬉しいです!! (2017年6月4日 22時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろろみや。 | 作成日時:2017年6月3日 23時