13*:常識とは。 ページ13
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『治は、酷い奴』
「うふふ、そう?」
太宰とAは広津に敵組織の話をして、帰るところだった。
敵組織と言っても、名前しか判っていないのだが。
『飲み物買いに行かせたのに、貰わないで帰ってる』
「だって遅いんだもの」
そう、太宰は構成員の一人に飲み物を買いに行かせたのにも関わらず、彼が帰ってくる前にその場を去ったのだ。
Aは言葉では、その構成員に同情しているのだが、気持ち的にはあんまりだ。
こんな太宰に育てられているのだから、妥当なのかもしれないが。
常識を教えてくれるのは、いつも太宰以外の周りの人達だ。
ある程度の常識だが。
『有難う、は大事だって云ってたよ』
「へぇ、誰が?」
『中也』
げっ、と太宰は顔を引きつらせた。
確かにその言葉が大切なのは判っている。
だが、中原中也という人物が言ったということにより何となく認めがたいのだ。
「A、中也の言う事を信じてはいけないよ」
『判った』
Aは太宰の言葉ならば疑う事なく信じてしまう。
幼いながら、彼が自分の命の恩人であることを理解しているからだ。
こうして彼女の常識は上手く構築されない。
まぁ、今に始まった事ではないが。
『治は、どう思う?』
「この事件のことかい?」
Aは顔を上げて太宰を見た。
彼女は、太宰なら何でも知っていると思っている。
過信しすぎかもしれないが、大体当たっている。
太宰の予測は外れない。
だが、あくまで予測だ。
『織田作が首領に呼ばれるの、珍しい』
「そうだねえ」
彼は肩書きもない最下級構成員。
首領に呼ばれるなど、珍しい、ではなく、ありえないのだ。
確かにそこに何かがある、二人はそう認識していた。
「もう少し、調べて見ないとね」
『うん』
二人は来た道を歩いていた。
すると、太宰の携帯が鳴る。
そこには先程話していた「織田作」の文字があった。
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ろろみや。(プロフ) - エンジョイ勢さん» うわわ、本当ですね!!!ご指摘、ありがとうございます!! (2017年8月18日 23時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
エンジョイ勢 - 夢主ちゃん、めっさ可愛いですね。訂正させて頂きたいのですが33の今までの○○なら絶対云わないの今までが今でになってますよ?更新頑張ってください! (2017年8月18日 22時) (レス) id: 670574c7a9 (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - ムクさんさん» ありがとうございます!続編もよろしくお願いします! (2017年7月3日 1時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
ムクさん - スッゴくおもしろいです。がんばってください (2017年7月3日 0時) (レス) id: 76af138a5e (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - YYYさん» 応援ありがとうございます!読んで頂けて、嬉しいです!! (2017年6月4日 22時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろろみや。 | 作成日時:2017年6月3日 23時