7:入社試験にて。 ページ7
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来るはずの痛みが来ず、敦はゆっくり目を開けた。
「莫迦だとは思っていたが、これほどとは」
「自 殺愛好家の才能があるね、彼は」
『太宰さん二号の誕生を見たようです』
目の前には、呆れた様子の国木田、クスクスと笑う太宰、ドン引いた様子で敦を見るA。
そして、そんなAが云っていた爆弾魔と、それに抱きつく人質。
まぁ詰まり、これは敦の入社試験である。
試験は、彼が皆を守るため爆弾に覆い被さった時点で終了。
結構ハードな内容だったと思われる。
「小僧、恨むなら太宰を恨め。若しくは仕事斡旋人の選定を間違えた己を恨め」
「そう云うことだよ、敦くん。つまりこれは一種の入社試験だね」
敦は未だ状況が理解できていなかった。
ただ太宰の言葉を繰り返したところで、威厳のある低い声が耳に入る。
「その通りだ」
武装探偵社社長、福沢諭吉だ。
『あ、おはようございます、社長』
「しゃ、社長!?」
風格に佇まい、全てに威厳を感じさせる福沢は、一度敦を見て、腕を組む。
ゆっくりと間をとってから、口を開いた。
「そこの太宰めが「有能なる若者が居る」と云うゆえ、その魂の真贋試させて貰った」
何せ、敦は区の災害指定猛獣である。
そんな彼を保護すべきか、探偵社内でも揉めたのだ。
それを社長の一声でこうしたのだ。
「で社長、、結果は?」
「太宰に一任する」
そうとだけ云い残して去っていった福沢。
その空気に、敦は言葉を発する事ができなかった。
「合格だってさ」
「つ、つまり…?僕に斡旋する仕事っていうのは此処の…?」
「武装探偵社へようこそ」
敦は全身から冷や汗が流れ出るのを感じた。
彼が最初に出会ったのは、国木田、太宰、Aである。
何せ、問題児ツートップが居たのだ。
自 殺愛好家の太宰に、全てにおいて読めないA。
敦の不安は当たり前の事なのだ。
『やりましたね潤一郎くん、迫真の演技でしたよ』
「ありがとうA、だけど、タイミングズレてるよ」
敦の入社が決まってすぐに、敦ではなく谷崎を褒めたA。
褒める相手を間違えている。
『敦さん、これで私の仕事が減りますね』
「いや、僕は、」
この女、この大事な状況の全てにおいて、話の論点がズレている。
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ろろみや。(プロフ) - のりばやしさん» 本当ですか?!是非ともよろしくお願いします! (2017年12月19日 7時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
のりばやし(プロフ) - 主人公さんをかかせていたたけないでしょうか? これからも更新がんばってください!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: 450ab9bd17 (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - 龍愛さん» ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです!更新、頑張ります! (2017年10月19日 0時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
龍愛(プロフ) - ろろみや。様の作品を初めて拝見させていただきました!とっても面白いです!!私の好みの作品です!更新、頑張ってください! (2017年10月18日 22時) (レス) id: a85de7e0fb (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - ぽっぽさん» ありがとうございます!!更新頑張ります!! (2017年10月16日 23時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろろみや。 | 作成日時:2017年10月9日 1時