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29:不憫な子。 ページ29

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「……罠か」


『また太宰さんと一緒でテンションだだ下がりなのに、これは酷すぎます』




マフィアと探偵社、その双方の長での密会が終わってすぐ、Aは太宰に連れられてQの奪還へ向かったのだが、目的地を目の前にして武装した敵に囲まれる。





「任せたよ、A」


『戦闘はできないって云ってるじゃあないですか』


「武術の心得は多少あるのだろう?」


『社長に教わったのは本当に少しなんですけど』





彼らがいつも通りのスカスカな会話をしている中、敵の一人に大きな岩が直撃。





こんなことが出来る人物は、彼らの知り合いには一人しかいなかった。





「最初に云っとくがなァ、この塵片したら次は手前だからな?」




太宰の元相棒、中原中也である。






***




『はいはい、仲良しですね善いですね。私が開けます』




敵を一掃し、施設に入ろうとした三人。



太宰と中原はドアノブに同時に手を伸ばすという謎のシンクロを見せ、二人で睨み合う。



それに痺れを切らしたAが、間を割って入り、ドアを開けた。





階段を降りる時でもなお、彼らのいがみ合いは終わらない。




「手ッ前ェ!」


「無駄だよ。君の攻撃は間合いも呼吸も把握済みだ」


『マジでやめてください。今死にかけたの私ですからね?』





太宰が避けた中原の蹴りがAの横すれすれを通る。




これ以上続けられれば、太宰より彼女の方が危険である。




「ほら居たよ。助けを待つ眠り姫様だ」

「眠り姫様ねえ…」




発見したQを救出しようと短刀を手にした太宰は、それをQの喉元にあてる。




中原はそれを止めなかった。




だが、太宰もQを殺すことはなかった。





『こんなに小さい子なのに、不憫ですね』


「不憫?」




太宰は木の根を切り落としている時、Aの呟きに中原が返した。




彼女は中原に目を合わせることはなく、淡々と話していく。




『えぇ、不憫です。この子が捕まったことを知っていても、マフィアはすぐに救出に向かわなかったでしょう?』




まぁ、マフィアにはマフィアのやり方があるんでしょうけど、と付け足す彼女の言葉を、中原は黙って聞いていた。





『そもそもこの危険な状況で、利用されると判っているならば、外に出してはいけない。マフィア本部で隠すのが最適です』




それ以上、Aは何も云わなかった。




聞いていた二人も、それについて追求することは無かった。



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30:笑えない事実。→←28:密会の手筈。



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ろろみや。(プロフ) - のりばやしさん» 本当ですか?!是非ともよろしくお願いします! (2017年12月19日 7時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
のりばやし(プロフ) - 主人公さんをかかせていたたけないでしょうか? これからも更新がんばってください!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: 450ab9bd17 (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - 龍愛さん» ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです!更新、頑張ります! (2017年10月19日 0時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
龍愛(プロフ) - ろろみや。様の作品を初めて拝見させていただきました!とっても面白いです!!私の好みの作品です!更新、頑張ってください! (2017年10月18日 22時) (レス) id: a85de7e0fb (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - ぽっぽさん» ありがとうございます!!更新頑張ります!! (2017年10月16日 23時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ろろみや。 | 作成日時:2017年10月9日 1時

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