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27:光と風と夢。 ページ27

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「君の勝ちだよ、敦くん」




突如、敦の前に現れた太宰はそう云った。




「君の魂が勝った。これで街は大丈夫だよ」





それでもなお、空からの攻撃を気にする敦に太宰は微笑み、謎のボタンを押した。



すぐさまあたりを煙幕が包み、狙撃は回避される。





『何が君の魂が勝った、ですか。格好つけてる場合じゃあないでしょう』





敦が消えて一週間、太宰とAは凡ゆる場合を想定し、街に煙幕を発生させる機械を取り付けていたのだ。




それが思った以上に面倒な仕事であり、彼女は不服だった。





「兎に角、一旦ここから離れよう」


『肩貸しますよ』


「ありがとう、」




負傷した敦にAが肩を貸し、三人は一度地下に避難。




そこで太宰は、未だ残された問題について口にした。




『唯一対抗可能な協力者の異能特務課も凍結されました』


「あの、」




Aが話を締めくくった後、敦は重い口を開いた。




二人は、そんな彼をじっと見ていた。




「昔読んだ古い書巻にありました」




そして敦は驚くべきことを口にするのだった。





"昔、私は、自分のした事に就いて後悔したことはなかった。
しなかった事に就いてのみ、何時も後悔を感じていた"




これは彼の読んだ書巻の一節。




敦にある着想を思いつかせた根源である。





「それにこうもありました」

"頭は間違うことがあっても、血は間違わない"





彼は雲の上である発想を得た。




周りからすれば論外な発想である。




だが敦には、血と魂が示す唯一の正解に思えてならなかったのだ。





「どんな着想だい?」


「協力者です」





その時点で、二人は既に気づいていた。




敦が誰を、協力者として見ているのかを。





「彼等は横浜で最も強く、誰よりもこの街を守りたがっています。組合と戦う協力者としてこれ以上の組織はありません」




はっきりと言い放った敦に、太宰は強い眼差しを向けた。





それとは対照的に、Aは何か遠くを見ているようにぼんやりとしていた。





「その組織の名は、、ポートマフィアです」






去っていく二つの背中。




Aはそれを、少し後ろから眺めていた。




『…本当に、終わりが近づいてきたな』




不意に伸ばされた手に気づくものは、誰もいなかった。





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28:密会の手筈。→←26:北米異能組織。



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ろろみや。(プロフ) - のりばやしさん» 本当ですか?!是非ともよろしくお願いします! (2017年12月19日 7時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
のりばやし(プロフ) - 主人公さんをかかせていたたけないでしょうか? これからも更新がんばってください!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: 450ab9bd17 (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - 龍愛さん» ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです!更新、頑張ります! (2017年10月19日 0時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
龍愛(プロフ) - ろろみや。様の作品を初めて拝見させていただきました!とっても面白いです!!私の好みの作品です!更新、頑張ってください! (2017年10月18日 22時) (レス) id: a85de7e0fb (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - ぽっぽさん» ありがとうございます!!更新頑張ります!! (2017年10月16日 23時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ろろみや。 | 作成日時:2017年10月9日 1時

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