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『私たち人間が知っている宇宙は、たったの4%しかないって話、知ってますか?』

「少しだけね」

さすが博識、とAは笑う。

探偵社ビルの屋上。彼女は太宰に非現実的な話をした。

組合の残党の件は、各組の健闘と特務課の協力により、全て丸く収めることに成功した。それにより約束を果たすため、彼らは言葉をかわすのだった。

『先に、私の話を聞いてください。大方の質問は解決すると思います』

「わかった。そうしよう」

Aはすぐには話し出さなかった。どこから話そうか悩んでるようにも見えて、話すこと自体を躊躇っているようにも見えた。

太宰は何も云わずに待っていた。

『太宰さんは、平行宇宙、パラレルワールド を信じますか?』

「どうだろう。自分が体験したことがないから何とも云えないかな」

『シュレーディンガーの猫と同じようなことですね。平行宇宙がある確率とない確率が重なり合っているから、どちらとも云えない』

Aにしては真面目な話過ぎて、太宰は笑った。彼女はそれを見て口を尖らせて文句を云う。

いつから、どこまで太宰が彼女のことを知っているかはわからない。それでも、あの太宰が何も気づいていないわけがないと、Aは知っていた。

この会話は、彼らにとって、答え合わせに近いのかもしれない。

『この世界だけが4%を占めているわけじゃないんです。他にも数え切れないほどに分岐した世界があるから』

「断言するんだね」

『信じる、信じないの問題ではないんです。私は数少ない、信じざるを得ない立場の人間ですから』

日常のちょっとしたことで起こる " If "(もしも) の数だけ世界は分岐する。その全ての世界を含めて、4%なのだとAは説明する。

曖昧な情報を持って平行宇宙はあると云う人間と、無いと云う人間。そのどちらにも属さない信じざるを得ない人間はきっと、それを体験した存在。

『太宰さん』

「何だい?」

Aは隣に座る太宰の方へ振り向く。太宰はそっと、彼女の目を見た。

『織田作之助を知っていますよね』

「あぁ、知っているよ」

彼女の言葉に疑問符はなかった。

織田という同じ名字を持った、似過ぎている二人。

『彼と私は、同一人物です。私はこことは違う世界、この世界と平行にある別の世界の、織田作之助です』


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- 感動しました!完結おめでとうございます! (2018年11月18日 15時) (レス) id: 1914631717 (このIDを非表示/違反報告)
ANN(プロフ) - 感動しました。感動しました。完結おめでとうございます(*>∀<) (2018年11月18日 15時) (レス) id: 0ad3bbb3df (このIDを非表示/違反報告)
あーやんの向日葵畑(プロフ) - 完結おめでとうございます(^-^) (2018年11月18日 13時) (レス) id: e1d97e38a0 (このIDを非表示/違反報告)
あーやんの向日葵畑(プロフ) - すごい、こんなに感動したのは久しぶりです。 (2018年11月18日 13時) (レス) id: e1d97e38a0 (このIDを非表示/違反報告)
琴吹(プロフ) - 最高でした。 (2018年11月18日 12時) (レス) id: 0c8e621b62 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ろろみや。 | 作成日時:2018年11月17日 23時

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