儚いヒーロー (ページ42)

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ｷｵｸページ42

『ｯﾝ………こや？』

hsrb「俺だよ」

『るべだ……なんで？』

hsrb「小柳くん急用できたらしくて代わりに呼ばれた。Aを1人にしないでって」

『……1人にしてって言ったら？』

hsrb「嫌だって言う」

『そ。』

(デビューしてからるべとは少し距離感がわからない)

hsrb「Aって俺のことちょっと苦手？」

『え？』

hsrb「俺が記憶ないから？」

『…わかってるなら言わないでよ』

(記憶をなくしても鋭いところは変わらない)

hsrb「ごめん」

『謝られても困るんだけど』

hsrb「うん」

(すぐ謝るところも変わらない。変わったのは私のことを覚えてないってこと)

『……なんで忘れちゃったの』

『前のるべはAが作ったお菓子どんなけ甘くても失敗しても美味しいよって食べてくれたのに』

(だめ)

『Aが泣いてたらあったかいミルクティー買ってくれたのに』

『一緒にこやにいたずらしたのに、一緒にサボって怒られたのに、楽しいこと全部したのに』

(言っちゃダメ)

『AよりAのこと分かってるんじゃないの！？
なんで、なんで忘れちゃったの！！……ごめん』

(絶対に言っちゃダメってわかってたのに止まることなく口に出していた。)

hsrb「泣かないで…俺も忘れたくなかったよ。
ごめんね、今の俺はAの知ってる俺じゃない？」

『違うところもあるけど変わってないところもたくさんあるよ。』

hsrb「どんなとこ？」

『髪の毛。色も長さも違うけど、るべの髪の毛大好きなんだ』

hsrb「だからよく俺の髪の毛で遊ぶんだ。Aが俺の髪で遊んだあと頭撫でるでしょ？俺あれ好きだよ」

(VTA時代にるべに言われたことと全く同じことを言われて止まりかけた涙がまた溢れ出した)

hsrb「もー、なんでそんなに泣き虫なの？笑」

(そう言って抱き上げる仕草も抱きしめる力も何も変わってない。記憶が無いなら同じ記憶を作ればいいんだ)

『るべの無責任そうな言葉もとっても優しい仕草も何も変わってないよ、Aの知ってるるべだよ』

hsrb「褒めてるの？それ」

『褒めてるよ』

hsrb「俺のこと好き？小柳くんより」

『なにそれ笑すきだよ』

(私に恋愛的感情は分からないけど、この人たちのことは好き。るべもこの答えの意味を分かってる)

『そうやって、いつまでAのこと生かしておくつもりなの？』

hsrb「んー、俺が死ぬまでかな」

(ほら、また死ねないんだ)