最後の日 ページ19
※漫画一巻のネタバレを含みます。ご注意下さい。
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「A、ママが呼んでるよ」
ギルダが私に言った。
『ありがとう、ギルダ。直ぐに行くって伝えてくれる？』
「わかった。…服、いい感じだよ」
少し照れたように言う。
私はハウスを出るために新しい服に着替えていたのだ。
こんなにも良い兄弟達とも、あと少しで別れなければならない。
一気に寂しさが込み上げて私は思わずギルダに抱きついた。
『ありがとうー！！私絶対手紙書くから。忘れないでね！』
「Aー！」
エマとノーマン、レイが走ってきた。
まだ抱き合っている私とギルダにエマが加わる。みんなで声をあげて泣いた。
しばらくそうしていたけれど、ずっとはしていられない。
私はおもむろに立ち上がり、言った。
『じゃあ、そろそろ行くね』
それからはあっという間だった。
いつも通る廊下が、何度も足しげく通った図書館が、子ども部屋が、兄弟達が。
何もかもが愛おしい。
気がついた時には玄関にいて、ママとみんなに囲まれていた。
「さあ、みんな。Aとお別れよ」
「ありがとうー！」
「お手紙、書いてね」
『今までありがとう。みんなのこと、絶対に忘れない。手紙も書く。また何処かで会おうね』
そこでレイが隅の方で俯いているのに気がついた。
『レイ。またね』
「…っ、ああ。じゃあな」
なんだか泣きだしそうな顔だった。
「またね！A、ありがとう！！」
一際大きいエマの声に見送られ、私はママと共にハウスを出た。
***
私は自分の目を疑った。
鬼、ママ、飼育官と食用児。
自分の胸に迫る先の尖った植物。
それは私に深く、ふかく刺さり、鮮やかな赤色の花が開いた。
意識が途切れるまでの刹那、私が思ったことは一つだけだった。
『みんな、逃げて』
しかしその言葉は声にならずに消えていった。
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花風雪(プロフ) - こんにちは！ずっと見てました！とっても面白いです！そろそろクライマックスぽいけど、きちんと完結してくださいね！ (2019年8月8日 9時) (
レス) id: e781858e49 (このIDを非表示/違反報告)
lwntodidet - コンパクト使えば分かるはずなのに分からないはないでしょ (2019年8月4日 11時) (レス) id: a124146768 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：秋桜 | 作成日時：2019年3月7日 21時
