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過去は振り返らない主義なんだけどなと思いつつ、体を起こして床に正座する。正座というよりも土下座だ。
「なんで土下座？」
「ご迷惑をおかけして……」
もごもごと謝罪の言葉を言っていく俺。
不思議そうに見ている淳弥くん。
本当に申し訳ない＿＿。
「いつものことだから慣れてるよ」
「え！？」
少しは期待した。全然気にしてないよーとか、そういう言葉を。だけど予想外の言葉が耳に入ってくる。
俺は頭を上げて部屋中に響くくらいの大きな声を上げて彼をじっと見つめる。
「反応おもしろ」
「冗談でもすぐ信じちゃいますって……」
少し足が痛いなと思いながら、口元を手で隠してツボに入っちゃってる淳弥くんは楽しそうだ。笑っている姿を見れるならいいやーと呑気に思う。
「元気になって良かった」
「！」
俺のためだったんだとわかった瞬間には、抱きつきそうになったけど我慢我慢。
よいしょ、と言いながら正座から体勢を崩して改めてソファに座る。
＿＿なんというか、偶然が重なり合って今の俺が存在していると考えると涙が出そうだ。
急にそう思った。
「どうかした？」
「いいえ！人生って何が起きるのかわからないなって！偶然ってすごいものだと！」
ははは、と笑いながら隣に座っている淳弥くんに語りかける。
すると何か話しそうに口をゆっくりと開けていた。この時間だけがゆっくりと進んでいるかのようだ。
「Aは偶然だと思ってるの？」
「え？」
その言葉に一瞬疑問が浮かんだ。どういうこと？
偶然じゃなければ必然とか。必ずしてそうなったと考えているのだろうか。
「人との出会いは、偶然か必然か……そういうのはわからないけど、Aくんとの出会いは必然的にだったら良いなとか考えたりしてる」
「！」
まさかそこまで考えていたなんて思ってもいなかった。
＿＿確かに、そうだったらいいな。
「僕って結構大切されてたんですね」
「当たり前」
そもそも自分を下げすぎだよと追加で注意された。
「昔のことはもういいんだよな。今が楽しくて幸せなら良し！」
「うん。Aくんらしいね」
「よっしゃー！飲み直すぞー！」
「え、まだ飲むの？」
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作者名：のん
| 作成日時：2023年8月4日 20時
