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「天神に着いたー!」
「テンション高いね。あ、いつものことか」
「行きたかったんですよ!天神!」
「そうなんだ」
天神に着いてからハイテンションになっていく。ついに福岡の、特に天神に実際に行くことができて嬉しくなる。
左右見ても人、前後を見ても人。
この多い人の中を歩いていこうとしたとき、俺の腕が掴まれた。
「ちょっと待って。この番組って何か企画とかしないの?」
「え、企画?」
「……噂で聞いてたけど本当に自由なんだ」
「自由気ままにぶらぶらしちゃいましょ!」
正直に言うと、企画のようなものはない。俺の自由なところを好んでやっている番組だ。
だからカメラで撮られているからと行動を制限することはない。
……今回はわからないけど。
「淳弥くん、まずはどこから行きますか?」
掴まれている腕はそのままに、色々な店を見ながら足を動かして移動する。たくさん歩くだろうから、今日の夜には旅館で爆睡だろう。
「!危ない」
「えっ」
しかしそのとき、肩と肩がぶつかって俺は体勢を崩してしまった。
気づいたときには転びそうになって___。
「人多いから気をつけなきゃね」
「??」
地面に手をついてしまうのかと思えば、俺の視界には服。両肩に淳弥くんの手があって……あれ?どういう状況?
「大丈夫?怪我はない?」
「……」
頭をフル回転させる。
転びそうになった俺を淳弥くんが助けてくれたんだ。感謝しかない。だけど、この状況を理解するには時間がかかった。
「ごめん、男に抱きしめられるなんて……っておーい、Aくん?」
「……俺怒られるやつだ」
さすがにここはカットされるはずだ。
俺、今どういう顔になってる?そもそもスタッフさんはこの状況にどういう反応をしている?ヘルプください。
「誰に?というかちょっとAくん戻ってきて。A〜?」
おーい、と棒立ちしている俺の頭をぽんぽんと優しく撫でてくるのに気づいて、一瞬魂がどうなっていたのかわからなかった。
「す、すみません!一瞬魂が抜けていました」
「体調は大丈夫?きつかったらすぐ俺に言うんだよ」
「は、はい!すみません!ありがとうございます」
「俺ラーメン食べたいんだよね」
「僕も食べたいです!行きましょう!」
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作者名:のん | 作成日時:2023年8月4日 20時