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有栖川Aが俺の家に泊まるのはそう珍しくない。月に数回、遊びに来るという名のお泊まりをする。
そうは言ってもベッドは1つだけだから、Aにはソファで寝てもらっている。当初はそもそも淳弥くんの家にお泊まりできること自体が幸せだからソファで、いや、床で十分です！と言っていた。
……さすがに床は駄目だからソファを貸している。
「“ありす”。おーい、有栖川」
「んぅ…」
翌日。俺が先に起きたから、リビングのソファに横になっている後輩を起こす。肩を軽く叩いても、頬をつまんでも起きない。あぁ、いつものことか。
「起きろA」
「起きました」
通常運転か。
「……なんで下の名前だけに反応するの」
「ふふっ」
いつからか、俺たちは下の名前で呼び合うようになった。そう、いつからか。いつだったかなぁ。
「はっ！朝食、俺が作ります！」
「ありがとう」
ガバッと勢いよく体を起こして、キッチンへ向かうA。
俺のことを思ってテキパキと動いているかもしれないが、“ここにいるときも上下関係は気にしないのにな”と密かに思っている。
「相変わらず料理上手だね」
「ありがとうございます！」
Aはとにかく料理上手だ。料理系男子。小さい頃から家事全般は基本彼がやっているらしい。
俺は彼の隣でスクランブルエッグを作っている様子を見る。
「ふふんっ。美味しくなれよー」
＿＿有栖川Aの声は他の男性より高い。そう考えると村瀬くんと近いかもしれない。
Aの声はずっと聞いていて飽きない。心地良いのだ。目覚ましで彼の声にしたいレベル。……ちょっとこれは気持ち悪いわ。
「できましたー！」
「はーい」
こうやって後輩に好かれるのも悪くない。
有栖川A @Arisususu
スクランブルエーッグ！(おはよう！)
【写真】
XXX @xxx
ありすくんおはよう！！
XXX @xxx
美味しそう…🫢
XXX @xxx
Aくん本当に料理上手だなぁ……羨ましい
XXX @xxx
私がスクランブルエッグ作るとこうもいかないんだよ…
XXX @xxx
今日も1日頑張れる…あとお腹空いた笑
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作者名：のん
| 作成日時：2023年8月4日 20時
