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今日はオフの日だ。
Aくんと順調にアフレコは進んでいる。彼から色々と学ぶことは多く、とにかく楽しいという気持ちでいっぱいになっている。
最近は彼と一緒にいることが多かったので、こうして家でゴロゴロするのも良いかも。
「……A?」
しかしそのとき、テーブルにある俺の携帯が鳴り出して画面を見てみると、有栖川Aという文字が。……前言撤回。
「も、もしもし!」
「どうしたの?」
何かと緊張して力が入っている声が聞こえる。
「今日何か予定入ってますか?」
「ううん」
「そうですか。あの、もしよかったら今日、僕とお出かけしませんか!?本当は事前に言わなきゃなと思っていたんですけどすみません……!」
「うん、いいよ」
特に断る理由はない。
「そうですよね……駄目で__って良いの!?」
「うん」
「えっえ、マジですか……」
自分で聞いておいてなんでびっくりしているんだ。
「そんなに嫌?」
「嬉しいです嬉しいです!最高!やったー!__いてっ!?」
「ははっ暴れすぎ」
遠くから何かガタッと音がして、もしかしてぶつかったな?と想像したら面白くてくすくすと笑ってしまう。
__そういえば、今日は有栖川Aの誕生日だ。
◇
時間を決めてさっそく集合場所に向かうと、キャップを被っているプライベートの服装を着たAがそこにいた。
……学生と間違えられそう。
「淳弥くーん!じゅん…んぐっ」
「そんなに人の名前を大きな声で言わないの」
「ふぁい」
何度も俺の名前を呼ぶもんだから、両手でAの頬を引っ張る。
「今日も淳弥くんはかっこいいですね!」
「ありがとう」
周りに人がたくさんいるから声のボリュームは下げてほしい。
「で、どこ行くの?」
「映画館!見たい映画があるんです!良いですか?」
「いいよ」
定番だなと思いながら、他愛ない会話をして映画館へ向かう。
「……ってこれ、Aくんが出てる映画だね」
「1人で見る勇気なくて」
「なんか恥ずかしいよね」
「そ、そうなんです!」
見たい映画と言っていたのは、漫画が原作のアニメだった。
映画化するということで話題になっている。
しかも主人公の声をしているのはAだ。
「もしかしてこの映画、見ましたか……?」
「ううん、見てないよ。一緒に見ようよ」
「やったー!ありがとうございます!」
……実は公開日初日に行ったなんて本人には言えない。
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作者名:のん | 作成日時:2023年8月4日 20時