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__尊敬している人、憧れの人、好きな人。
やはりそういう人とは一緒にいたい。そばにいたい。そう思うのは当たり前の人間の心の動き。
「あぁ〜淳弥くんの家居心地良い〜」
「さっさと帰って」
「へぶっ」
だからよく”彼“の家に遊びに来ている。彼というのは、榎木淳弥くんのことだ。俺の先輩で、尊敬している人だ。
そんなかっこいい先輩の家に(容赦なく)お邪魔して、そして毎回クッションを当てられる。でも柔らかいクッションだから全然痛くない。優しいよね。
「僕、淳弥くんのこと尊敬してるんです!」
「はいはい」
「だからそばにいたいって思うのは人間の本能なんです!だからいつも近くにいるんですよ!」
「あぁ……うん」
「なんですかその反応」
わあわあぎゃあぎゃあ。俺ってこんなにうるさかったっけ。
淳弥くんは小声でうるさ、と呟く。聞こえているぞ。事実だから仕方ない。ソファに座っている俺を横目に見て少し引いている。
「……迷惑ですか」
「……」
流石に相手のことを考えていない行動をして反省をする。かくん、と頭を下にする。
「わっ」
「今に始まったことじゃないし、いいよ。これからもこんな感じで」
「!」
すると淳弥くんはガシガシっと少し乱暴に俺の頭を撫でた。なんとお優しい。
淳弥くん…!と目を輝かせていると、
「さて、そろそろ帰ってもらおうかな」
なんでこうすぐ現実に戻すんだよ。早い!
「お泊まりセット持ってきたのに!」
「うわ」
またもや引かれた気がする。そして、”Aくんさ、本当最初と比べて遠慮しなくなったよね“と少し悲しそうな顔をする。
「あのときの、初々しいAくんはどこへ行ったのか」
「え、初めの僕の方が良かった!?」
「うん」
「”うん“!?」
あはは冗談だよ、と冗談っぽく言っているようで冗談に聞こえないことをさらりと言う淳弥くんにいつもハラハラドキドキ。しかし他愛ない会話(だと思っている)だけで本当に幸せだ。
「はぁ……今日だけだからね」
「はい!」
良い返事をして少しずつ準備を始める。
家族は大丈夫なの?と聞いてきたので、大丈夫です。“あいつ”がいるので、と返事をした。
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作者名:のん | 作成日時:2023年8月4日 20時