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__これは声優になって間もない、昔の話だ。
◇
俺と榎木さんが出演していた作品のトークイベントが終わったあと、キャスト全員で写真を撮った。
しかし俺としては榎木さんとも別で一緒に写真を撮りたいと思っている。でも迷惑だよなぁ、と思っていて行動に踏み出せないでいた。
欲を出せば榎木さんとツーショットで撮りたい(本音)。
「え、榎木さん!」
「ん?」
「良かったら、その……一緒に写真撮りませんか?」
「良いよ」
「!」
タイミングよく廊下を歩いている姿を見た瞬間声をかけた。予想外に大きな声が出てしまって自分でも驚いている。
「俺がスマホ持った方がいいよね」
「え、いや、でも…」
「俺の方が身長高いし」
と、俺の携帯をすぐ手にする榎木さん。
「はい、ちーず」
「!」
普段は自分で撮らないって言っていたような気がしたが、そのようなことは気にせず、流れのまま一緒に撮ることができた。
両手でピースを作って、最高にニヤけてしまったのは言うまでもない。絶対自分の顔が酷いことになっている。
「どう?」
「あ、ありがとうございます!」
「どういたしまして」
写真を見るとほどよい感じで良かった。
一礼して感謝の言葉を言ったあとはずっと携帯を見る。
「う、嬉しいぃ〜!」
廊下に俺の声が響き渡った。
有栖川A @Arisususu
イベントありがとうございました!
初めてこういうイベントに参加できて最高でした!
【写真】
XXX @xxx
有栖川くんお疲れ様!
XXX @xxx
榎木さんとのツーショだね!?
珍しいコンビだ…
XXX @xxx
榎木くんとAくんは私得すぎるよ😭
XXX @xxx
Aくんのビジュがめちゃくちゃ良い……
__これが後に純粋だった有栖川A時代と言われるのは言うまでもないだろう。
◇
現在。
「淳弥くん、写真撮りましょう!」
「……遠慮しなくなったよね、A」
「え?」
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作者名:のん | 作成日時:2023年8月4日 20時