家 庭 科 室 の 、 - 2 - 【地縛少年花子くん】

ダイスキ ページ30

_________________________

_________________

__________









　
「ちょ、何するの！？やめてよ！」


「嫌だ。もう限界なの。」









　
廊下から家庭科室の様子を見る。Aの包丁を持っている手はだんだんと震えている。彼女は笑っていた。




だから恐怖で震えているわけではないのだろう。









　
「や、やめて…！謝る！謝るから！」


「謝っても、私がここで許すと思う？」


「っ！」









　
自分が危ない状況だということに気づき、もがいているあの子はもう遅い。









　
「辛いのは嫌だから、ここで終わりにしたいな。」









　
そう言ってAは腕を上げた。









　
「ごめんなさい！ごめんな_______ぁ、っ、！？」









　
でも、その時。俺は中に入ってAの手から包丁を奪い取る。









　
「！？つ、つかさくっ______」


「…よいしょっと。」









　
そして、俺の手でこの子の心臓が止まった。




___________実は、“Aは人を殺していない”。



　







「え、な、何して…。」









　
べちゃりと返り血が飛ぶ。俺にもAにも。









　
「俺、Aをめちゃくちゃにした奴を自分の手で“やりたいなって”。」









　
と、俺はニッコリと笑顔で言った。顔に赤いものが付いていても関係ない。


俺は自分の感情を全て口にした。









　
「俺ね、Aのことがだーいすきなんだぁ。綺麗だし本当にお人形さんみたいで。でもね、見た目だけじゃないんだ。全部がダイスキ。」


「つ、つかさ…く、っ…。」









　
俺はべっとりと赤くなっている手でAの頬を撫でる。そして、この前のように優しく彼女を抱きしめた。

とんとん、と背中を撫でる。









　
「A、こっち向いて？」


「…っん、！」









　
Aは顔を少し上げる。そのタイミングと同時に、唇と唇が触れる。ゆっくりと軽く、一瞬だけ。









　
「ダイスキだよ、A。」


「…！」








　
__________その後、俺はAの命を終わらせた。

変わって→←日常へと

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す