家 庭 科 室 の 、 - 2 - 【地縛少年花子くん】

噂噂噂噂 ページ19

「ねぇ最近の噂知ってる？」


「噂？」









　
教室では、とある噂が流れていた。それは男女問わず、皆が知っている。

私は聞き耳を立てて、それを聞いて知った。









　
「うん。自分のノートにね、願いごとを書いて学校の中に隠すと願いが叶うっていうやつ！」


「えぇ！？そんなことありえるの？」









　
ノートは自分のならなんでもいいのか。でもそれが現実になるなんて、ありえない。




しかし、他にも七不思議が噂になっている。実際に会ったことがある、という人もちらほらいる。


少しは信じてみようかな。









　
「隣のクラスの女の子が、好きな人と付き合いたいっていう願い事を書いて“図書室の中に数日隠した”らしいんだけど、その後付き合ったんだって！」


「そんな！？凄いね…。」









　
よし。少しだけ。少しだけ期待してもいいよね。









　
＊









　
放課後。今日は何もなかった。それは異例で驚いた。





廊下ではすれ違った。ただそれだけ。目は合ってしまったけど向こうはすぐ去って行った。

伊月達を見るだけで心臓はバクバクとうるさくて、手も震えていた。


だけど、彼女達が何もしてこない。それは私にとって嬉しいことだった。






　

私は自然と足が動き、体育館裏に来ていた。そこにいけば、つかさくんに会えるような気がして。









　
「あ、Aー！」


「つかさくん…。」









　
私も彼も、顔が自然と笑顔になる。やっぱり彼はいた。最近は笑うことが少なくなったが、彼を見ただけで嬉しくなる。

私達は、花壇の前に座る。









　
「A！最近の噂知ってる？」


「…ノートのこと？」









　
やっぱり噂は広がっている。









　
「あ、知ってるんだ！そうなんだよねー。ちょっと俺も試したいなって。」


「…。」









　
つかさくんは鞄からノートを取り出す。まだ未使用でピカピカだ。

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