家庭科室の、【地縛少年花子くん】 (ページ22)

今日:43 hit、昨日:20 hit、合計:368,013 hit

なにものページ22

どうしようか。絶賛大ピンチである。

　
翌日、私は久しぶりに家庭科室を出ることにした。そうは言っても、廊下を散歩したりとか、勿怪ちゃんに会うとか。そのようなことをしていた。

　
私が行動に出たのがちょうどお昼休みの時だったのだろう。

　
私はぶらりぶらりと歩いていたら、1人の男子生徒と出会った。

その人は、どこか他の生徒とは雰囲気が違っていた。なぜだろうか。

　
そんなことを思いながら、後ろからついて行った。

　

別に私は触ることは出来ないし、喋ったとしても声は聞こえない。だから通り過ぎて行こうと思った。

しかし、それは“無理な話だった”。

　
「…ん？」

「！」

　
私のことを見える人はごくわずか。その中に入る分類の人と出会ってしまった。

　
「……君って、“違うよね”。」

「えっ、あの、その…。」

　

目が合ってしまい、吸い込まれていきそうだ。

私は体が固まってしまった。

　
「七不思議…でもないみたいだね。君、名前は？」

「……A、です。」

「A、ね。僕は源輝。よろしくね。」

　
と、源くんは手を出してきた。握手、ということだろうか。

私もついつい手を出して握手をした。

　
生きている人の手。生温かった。

　
＊

　
生徒会室。

「蒼井、」

「？はい。」

　
僕は蒼井にさっき出会った子のことを聞いてみた。

　
「Aっていう女の子、知ってる？」

「A…？いえ、知りませんけど…。あ、もしかして好きなひ_______」

　
最後まで言わせない。

　
「黙ろっか。」

「痛っ！？」

　
僕はなぜか近くにあったノートで蒼井の顔面にバンッと叩いた。

反射的に手が動いてしまった。

　
「何するんですか！」

「手が、ね？」

「“ね？”じゃないですよ！！」

　
わあわあと騒ぐ蒼井。うるさい。

　
まあ、いいか。

…僕自身で調べてみるか。