ミえるヒト。【地縛少年花子くん】 (ページ22)

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二十二ページ22

2人で校門まで歩いた。

まだ早朝なので、学校の周りは静か。そして虫の声も聞こえない。

　
「A、また月曜ね。」

「うん。」

「寂しいなぁ…。」

　
どこから出したのかわからないが、花子さんはハンカチを持って目を拭いていた。

　
あ、少し涙が。

　
「いやそれ、目薬でしょ。」

「あらら。バレちゃった！」

　
そういうところ、子供っぽくて可愛らしい。

　
…って、最近花子くんに対しての好感度が高くなっている気がする。

　
「ばいばい、A。」

「…！」

　
どうしてだろうか。どうして、花子さんは辛い顔をするのか。

花子さんは別に辛い思いはしなくていいのに。

　
そしてここから、学校から外に出れば、花子さんに二度と会えないような、そんな感情が湧き上がった。

　
「は、はなこ…さっ…！」

「！うわっ。」

　
私は自然と足が動き、花子さんに抱きついてしまう。最初、彼のことは嫌いと思っていたはずなのに。

　
私をこんなに優しくしてくれる人は、家族にはいない。だから花子さんが恋しい。

　
「ははっ。Aってば随分最初と違うよねー。」

　
わざとらしく言ってくる。そんなこと、ちゃんとわかっている。

　
「違って、悪かったね。」

「ううんー。こんなところも好きだよ？」

　
私の背に回している彼の腕にぎゅっと力が入る。少し、温もりを感じる。

　
いや、手は冷たいままだけれど。

　
「…あ、ありがとう。」

「やった！Aが照れた！」

「う、うるさい！」

　
実際この時、顔がだんだんと熱くなる感覚に陥った。

　
もちろん、照れてしまった。