ミえるヒト。【地縛少年花子くん】 (ページ17)

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十七ページ17

「家には、帰りたくない。」

「…ふーん。」

　
抱きしめられた腕を解き、窓から外の様子を見た。

空はだんだんと灰色、黒色と染まっていく。

　
しかし、まだ烏がカーカーと鳴いている。

　
「家に帰りたくないなら、ここにいなよ。」

「…え？」

「前にも言ったでしょ？俺と一緒にいなよ。そうすれば嫌なことだって忘れる。」

「…。」

　
あの時は、花子さんの印象が悪くて……。ってあれ。

　
最初は、彼のことを警戒していた。何をしてくるのかわからないから。

だけど、彼は私を助けてくれた。

　
今もだってそうだ。

あ。私、完全に……花子さんを頼っている。

　
「気持ちは、嬉しいけど。」

「んもー！今日くらいは一緒にいて！」

「えっ。」

　
なんと花子さんから申しが出た。これが本音か。

　
「だってだって、明日土曜じゃん！休みじゃん！だから今日は家に帰らず、俺とお喋りしてよー！」

「え、えぇ…。」

　
わがままか。花子さんのわがままか。

　
「いやでも。それなら学校に泊まるってことになる、よね。」

「え？うん。そうだよ。」

　
なんで当たり前のことを聞いてくるの？というような顔で返された。

一応携帯は持っている。だから連絡は出来る。

　
「A、お願い！」

「_______よ。」

「えっ。」

　
「いいよ。お喋り、しよう。」

「やったー！」

　
花子さんには完全に甘えてしまう。