ミえるヒト。【地縛少年花子くん】 (ページ15)

今日:12 hit、昨日:17 hit、合計:541,183 hit

十五ページ15

朝。

会話せずとも、家を出ると思った。でも違った。

　
「A、ちょっと来なさい。」

「？」

　
リビングで父に止められた。母も弟もいる。

　
「アンタ、叩いたの！？」

「…は？」

　
母が直球で、弟を叩いたのか聞いて来た。どういうことだ。意味がわからない。

　
「ぼ、く…。ねえ、ちゃんに、たたかれて…！」

　
そういうことか。呆れた。こんな茶番はもう見飽きた。

　
今日だけではないのだ。こういうこと。前にも何回もこんなことが起きた。

　
実際、全部弟の1人劇。

私は、一生懸命になっている3人を無視して玄関へと向かおうとする。

　
でも、

　
「おい、何か言ったらどうだ！」

　
バチン。

　
「！」

　
父から1発、頬を打たれた。男性の力。すごく痛い。腫れそうだ。

　
「…ごめんなさい。」

　
謝っとけばどうにかなる。

　
私はごめんなさい、と言い少し力を入れて玄関のドアを閉めた。

　
＊

　
遅刻ギリギリで間に合った。

　
寧々ちゃんからは心配され、花子さんからも、

　
「その頬、どうしたの？」

　
と聞かれた。

　
随分と、教室の雰囲気に親しくなっていく花子さん。

　
「なんでもない。」

　
朝から言ってもしょうがない。

　
放課後まで待つことにした。