アンタの作戦には乗らないから。【音駒】

１２の作戦 ページ12

タイミング良すぎだ。


怯えているあかりちゃんを、クラスメイトが見てたらしく、









　
「あかりちゃん、怖がってるじゃないですか！」


「あなたが刺したんでしょ！？」









　
すごく警戒された。









　
「ははっ。」









　
だから隣の奴は笑うのをやめてもらえないかな。









　
「行こ！あかりちゃん。」


「う、うん…。」









　
彼女はクラスで信頼されているのだろう。









　
その演技で皆を味方につけている。






　
というか、多分自分から今日のことを言ったのだろうが、普通自分から言うのか。




　

目立って、怪我をしている私かわいそう、というアピールをしたかったのだろうが。









　
「あー。笑い止まった。」


「…。」









　
…やっと、笑うのをやめたんだね。遅いよ。









　
＊









　
夜。寝る前に私の部屋にやってきた鉄朗。







　
もうベッドに横になろうとしていたのに。









　
「何？」


「いや。へこんでないかなーって。」


「きっつい言葉言われたけど、別にへーき。」









　
自分自身、結構メンタルは強い方だと自覚している。









　
「何かあったらすぐ言えよ。」


「！」









　
その時。へらっとした兄の姿はおらず、ただ“心配している”ようだった。




　
ポン、と優しく頭を撫でてくる。









　
「あ、そうだ。今日こそ一緒に寝るか。」


「…さっきまでのシリアスな雰囲気返して。てか一緒に寝ないから！」









　
やはり、兄は兄であった。

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