アンタの作戦には乗らないから。【音駒】

１４の作戦 ページ14

朝練は早めに終わった。


皆の空気は重いまま。









　
「A、」


「！はい。」









　
皆が体育館を出て行った後、猫又監督から声をかけられる。









　
「昨日のことだが…。」


「…私は、やっていません。」


「もちろん。わかっている。」


「！」





　
「合宿も、大丈夫だ。でも、“支えてやってくれ”。」


「！は、はい。」









　
良かった。良かった…のか。


でもすごく安心した。





　
たとえメンタルが強くても、“仲間から信じてもらえる”ということはすごく重くて大事だ。









　
「黒尾A。頑張ります！」









　
＊









　
「あなたですよね。あかりちゃんを傷つけたの。」


「えっ。」









　
心がスカッとして、未来に希望が見えてきたはずではないのか。


今日の私は、結構ついてる！と思っていた自分が恥ずかしい。









　
最近の昼休みは嫌いだ。


廊下を歩いていると、1年らしき男子生徒が“あかり”という名前を出してきた。









　
「結構噂になってるんだね。」


「チッ。」









　
舌打ちをされた。









　
「人目のないところで何かをするつもり？そんなベタなこと、されるつもりはないから。」









　
ここから、悪口を散々言われて怪我をしたりするのだろうけど、私の場合はそんなことはない。









　
今は、逃げるのみ。

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