6滴：弟 ページ7
.
ご飯の準備をしている間、ちょうどお父さんも帰って来た。
家族全員でご飯を食べたが、その間が“息苦しかった”。
毎日のように弟の話ばかり。私は無言で食べる。
食べるけど…口に食べ物を運ぶけど、“全然味がしない”。美味しくない。
それに食欲もなかった。今日1日だけでドッと疲れが溜まった。
「…ご馳走さま」
だから私はご飯を残した。
「なんで残すの！最後まで食べなさい！」
食欲がないんだよ、私。
「お腹いっぱい」
「最後まで食べなさい！」
「だからお腹いっぱいだって言ってるじゃん！」
「！」
私は思いっきり机を叩いた。食器の音がする。
ここまでしないとお母さんは黙らない。お母さんはずっと自分の意見を貫き通すのだ。
リビングのこの空気が嫌いだ。だから一刻も部屋に戻りたかった。
＊
コンコン。
ドアのノック音がした。
「姉ちゃん」
「…何？」
ノックしてきたのは広樹。暗い顔をしている。
「大丈夫？」
「何が」
「だって…顔色が悪いし、」
「別に。平気だよ」
弟には才能が実っている。
小学生の時はイラストコンテストで優勝。
読書感想文も入賞した。
終いにはピアノを習い始め、大会に出て優勝。
他にもたくさん弟には才能がある。ほとんど表彰されて、評判が良いらしい。
__________________親はそんな才能溢れる子供が愛おしくてしょうがないのだろう。
それに対して私には才能なんてこれっぽっちもない。
この差は何なんだ。
「僕が言ってくるよ。姉ちゃん、学級委員もしてるんでしょ？だから疲れが」
「余計なことしないで！」
「！」
「広樹には関係ないでしょ…私には何も……」
「でも…」
「いいから出てって！」
弟は、広樹は何も悪くない。悪くないんだ。
なのに、嫉妬心が動いて八つ当たりしてしまう。
こんな自分、もう嫌だ。
「いや…だ…な、ぁ…」
…ポチャッと水が1滴。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 296人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ノン(プロフ) - みなさん» コメントありがとうございます。私もスガさん大好きですね(笑) (2019年9月16日 15時) (
レス) id: 06efefbac8 (このIDを非表示/違反報告)
ノン(プロフ) - 渚＠俺ﾅｰさんさん» コメントありがとうございます。更新がんばります！ (2019年9月16日 15時) (レス) id: 06efefbac8 (このIDを非表示/違反報告)
みな - スガさん大好きです！！ (2019年9月16日 11時) (レス) id: c7efde0d03 (このIDを非表示/違反報告)
渚＠俺ﾅｰさん(プロフ) - 好きです…。こういうお話好きです。更新頑張ってくださいね！ (2019年9月16日 2時) (レス) id: fb112923a5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ノン
| 作成日時：2019年9月15日 19時
