私たちはヒーローにならない (ページ6)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:10,554 hit

真実と嘘の狭間でページ6

━━━

「はぁー、相性悪っ。」

こちらは音本。
目の前にいる嘘付き女から情報を引き出すことが若からの命令だ。

「【お前の個性はなんだ？】」

「個性は詐欺。視界の中にいる人間に自分の嘘を信じさせられるよ。」

「もちろん視界から出ちゃったらバレるし、人数は二人まで。あんまり使い勝手がいいとは言えないかな。」

ああ、嫌だ。
誰しもが本性を隠し持っている。

信じられるのは、

「【……赤止國彦(あかどまりくにひこ)について知っていることを話せ。】」

若だけ。

「えーと、個性は信号？で……あとは知らない。」

「……は？」

絶句した。
そんななにも知らない男にどうして付き従えると言うのか？

「言われてみれば……全然知らないなー。あれ？組長はどこいったんだろ？知ってたりする？」

「【本当に知らないのか？】」

「うん。」

なんのためらいもなくうなずかれる。
あの若の同級生だったという女が言ったのはこのことか。

若はもうたどり着いただろうか。
目の前の女に説明しつつ思いを馳せた。