見えるから見ないだけ Ⅲ【呪術廻戦】 (ページ43)

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吉野くんの顔が明るくなる
本当に映画がすきなんだろう

まぁ、そうでもなければ平日の朝から小さな映画館でリバイバル上映のミミズ人間３なんて見ないだろうけれど

「２もさ、一見１と３と変わらないんだけど。完璧主義の人間が全てを投げ出すまで感情の動きがちゃんと描けてるんだ」

「あーだから２は見れたのか」

なるほど、と鞍久もうなずいている
最近高専の地下で映画を見まくっていたのが役に立った

「アレ？順平、珍しいね」

「母さん！！」

連絡先を交換しよう、というときだった
川沿いの道から溌剌とした女性の声がかかる

見上げれば、買い物帰りらしい煙草を吸った女性がいた

「友達？」

「さっき会ったばかりだよ」

「さっき会ったばかりだけど友達になれそーでーす」

流石に不味いだろうかと思い、とりあえず悠仁の後ろに隠れる
急いで目隠しを外し、悟に借りたサングラスをかける

「虎杖悠仁です！！お母さんネギ似合わないっスね」

「お、分かる？ネギ似合わない女目指してんの。んで、そっちの子は？」

『鞍久Aです。よろしく』

悠仁より一回り小さい身長が功をなし、目隠しはバレていない
大人だと流石に怪しむだろうと思って外したのだが、この母親は大丈夫だったかもしれない
煙草片手に笑う彼女に気が抜ける

サングラスの下の青い天眼がキラキラと輝いていた