そういうもん (ページ7)

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『な、、にそれ。なんの冗談？』

美月「あっ、いや、違ったらいいの！樹、最近Aちゃんと仲良さげだからさ」

『気のせいじゃないかな(笑)樹くんは美月ちゃんと仲良いと思うけど』

美月「え？違うよ、幼なじみだからそう見えてるだけで(笑)」

無意識

きっと無意識だろう
意識なんかしてなくて、"幼なじみ"っていう

私は一生なれない、いくら頑張っても手に入れることができない立場を振りかざす

その度にその立場はナイフになって
私の心をズタボロにする

気づいてないのか、気づいてないふりなのか
私の考えすぎなのか、本当にマウントをとっているのか

美月「樹、いろんな女子と話すからさ。Aちゃんにまで変なことしてたらどうしようって思って」

『そう？でも私には美月ちゃんと話してる時が一番楽しそうに見えるよ』

美月「やめてよ〜」

満更でもない顔して
本当は見せつけてるんでしょ、私とは違うって

なんて、思ってしまう私は性格が悪い

美月「よし、日誌も出したことだし帰ろっか！」

『そうだね』

教室に戻るまでに、廊下で樹くんとばったり会った

美月「あ！樹！」

樹「日直の仕事？」

美月「うん！もう帰るとこだけど」

うわ、これなんか一緒に帰る空気じゃん
早く立ち去りたい

樹「Aも今帰り？」

『うん、先に教室戻らせてもらうね』

美月「あ、、うん！ばいばいAちゃん！」

さらっと手を振って、早歩きで戻ろうとすると
大きな手に手首を掴まれた

樹「一緒に帰んない？」

『、、え？』

ちょっと待って思考停止
だって樹くんは美月ちゃんと帰るんじゃ、そういう空気で

樹「、、無理そう？」

『、全っ然無理じゃない！むしろいいの？』

樹「うん。教室戻ろ」

樹くんの後ろをただついて行く間、後ろを振り向けなかった
美月ちゃんがどういう顔でいるか怖いのもあったし、私が今している顔を見られたくないのもあった

きっと、優越感に溢れた、心底性格の悪い顔をしているだろう

でも今だけは、この時間だけは
優越感に浸っても、罰は当たらないんじゃない？