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引き抜かれた薬指には噛み跡がはっきりと付いてしまっている。思っていたよりも小さな歯型が背徳的で、ちかちかと瞼の裏で星が瞬くAちゃんは濡れた指のことなんて気にせず大切そうに自分で付けた噛み跡をなぞられる。
目の前の光景が非現実的で、意識が遠くに行ってしまったように頭がぼんやりとする。
けれど体は素直で突然縮まった距離にどくどくと心臓が早鐘を打ち立てる。吐息混じりにねぇ、と彼女は僕の耳元で囁く。もう僕の頭は沸騰寸前だった。
「愛してるわ。」
うっとりと告げられた甘すぎる言葉は溢れてしまう寸前の鍋のような頭に効きすぎた。愛の言葉を紡いでいるふっくらとしたその唇の柔らかさを僕は知っている。
そんな淡い期待に胸が高鳴って全身に一瞬で血が回る。思った通りでそっと頬に手を添えられてちう、と唇が重ねられる。
柔らかくて、温かくって、いい匂い。
頭の中には空白なんか無くって全部Aちゃんで満たされる。目も、鼻も、口も、僕の五感全てがAちゃんによって支配される。触れていた唇はぱっ、と離されてAちゃんの薔薇の花弁を貼り付けたような唇が形良く歪められた。控えめに上げられた口角はゆるりと弧を描く。
「私ってね、嫉妬深いの。だから他の女の子とお喋りなんてされたら、私、貴方のことを殺しちゃうかも。」
くふくふと悪戯に笑って飴玉を口の中でコロコロと転がすように無邪気に楽しんでいる。Aちゃんになら、そのまま噛み砕かれてしまってもいい。するりと僕の首にAちゃんの細い手が伸びる。
「痛いのは、やめてね。」
「あら、ふふ。ごめんなさい、少し揶揄いたくなっただけなの。」
首に添えられていた手は華奢だ。けれど僕にはとても冗談とは思えなかった。ぎり、と首に食い込んだ爪の感触がやけに残った。
Aちゃんの目には宇宙が広がっている。すっぽりと嵌め込まれた二つの小さな宇宙は長い睫毛に縁取られてきらきらと僕を見据える。その宇宙のような測りきれない未知数さに惹き込まれて目が離せなくなってしまう。
「でもね、少しだけ本当よ。」
きゅっ、と少しだけ宇宙が小さくなる。それはビックバン、いや、何もかもを飲み込む真っ黒いブラックホールかもしれない。
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白昼夢(プロフ) - 嬉しすぎて混乱しているので乱文になってしまってすいません…🙇🏻♀️ 感想を送ってくださって本当にありがとうございます、とっても励みになります！これからも遅筆ながらにたくさんサさんの話を書いていくのでよろしくお願いします…！ (2023年1月4日 0時) (
レス) id: c583532045 (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢(プロフ) - Twitterのフォローもありがとうございます。Twitterでもたくさんお褒めいただけて褒め殺しとはこういう事なのかと身をもって体験しました…。設定や世界観が好き、と言われたことや♡爆をされたことが初めてで嬉しさと照れが混じってくすぐったい気持ちです🫠 (2023年1月4日 0時) (レス) id: c583532045 (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢(プロフ) - Cmaさん» 読んでくださって私の話を好きと言ってくださるだけでも嬉しいのに、とっても詳しく感想を送ってもらえて本当に嬉しいです…！私が自給自足の為に書いた話が自分以外のサさんに夢を見ている人に届いてこんなにも喜んでもらえたということがとてもとても嬉しいです…🥲 (2023年1月4日 0時) (レス) id: c583532045 (このIDを非表示/違反報告)
Cma - お気に入りマークを押した1人として読んでいましたが、最新話の文章に胸を打たれてしまい思わず感想を書きました。これからもずっと読ませていただきます。お体に気をつけて頑張ってください。応援しています。 (2023年1月3日 23時) (レス) id: c457c5465c (このIDを非表示/違反報告)
Cma - コメント失礼します。つい最近この小説を見つけstmkw3のお話にのめり込んだ者です。緻密で美しくて柔らかいとても素敵な物語をありがとうございます。少し前にstmkw3にハマった身に染み渡っております。白昼夢さんの書かれるstmkw3がとても好きです。↑ (2023年1月3日 23時) (レス) @page45 id: c457c5465c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白昼夢 | 作成日時：2022年4月20日 17時
