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バチン。静謐を湛える部屋の中で鍵の閉まる音が掠れた私の呼吸音なんてかき消してしまうくらい大きく反響した。
｢なぁ、A。｣
名前を呼ばれただけなのに冬の寒さとはまた違う冷たくなる感覚がぞくりと背筋を駆け抜ける。後ろの薩川君をどんな顔をしているのか私は知らない。
ただぎしりと床が軋む音がした。
恐る恐る振り向くとそこには口角を上げて眉を下げて目を細めた笑顔、と形容される顔をしている薩川君がいた。薩川君は笑顔なのに考えている事が何一つ分からない表情のまま銃口をこちらに向けてゆっくりと玄関から私の方に歩いて来る。
様々な思考が頭の中で渦巻いている間に薩川君が流れるような所作で胸元から取り出した玩具の銃は疑問が詰まった暗い部屋の中で1番確実性を持って黒く主張していた。
先程まで空いていた距離はあっという間にじわじわと縮まってとん、と背中が壁にぶつかってついに壁まで追い詰められる。壁と薩川君に挟まって身動きが取れなくなった私をさらに追い詰めるように薩川君の手がずるりと壁に伸びていわゆる壁ドンの状況になる。
すっぽりと覆いかぶされたこの状況は少女漫画にもミステリー小説にも見える。私がこれからなるのは恋に落ちる少女なのか命を落とす被害者なのか。
｢ん〜？どうかした？あぁ、そっか、渡すの遅くなってごめんな。｣
薩川君はきょとんとさも自分は何も分かっていないとばかりに全くもって見当違いな事を言う。それからぱちぱちと瞬きして合点がいった、とばかりに微笑んでまたもや見当違いな答えを出す。
始まりは私が薩川君失くした指輪を渡してもらうという話だったから、多分その事を言っているのだろう。けれどまさか本当に中々指輪を渡さない薩川君に私が憤怒しているとでも思っているのだろうか。
きっと全部分かった上でそう言っているのだろう。
｢はいこれ、指輪。｣
きゃっ、と乙女のように頬に両手を当てると銃を仕舞う代わりに今度は銃ではなく私の失くした指輪を胸元から取り出す。
もしかしてずっと、持っていた。
いつもと変わらない変な薩川君。いつもと同じはずなのにその言葉は、目は、どろりと熱を帯びて甘ったるく感じられる。指輪を受け取らない私を見かねたのか薩川君が私の左の薬指に指輪を嵌める。
優しく指輪を嵌められて高鳴るこの心は恐怖か恋心か。
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白昼夢(プロフ) - 嬉しすぎて混乱しているので乱文になってしまってすいません…🙇🏻♀️ 感想を送ってくださって本当にありがとうございます、とっても励みになります！これからも遅筆ながらにたくさんサさんの話を書いていくのでよろしくお願いします…！ (2023年1月4日 0時) (
レス) id: c583532045 (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢(プロフ) - Twitterのフォローもありがとうございます。Twitterでもたくさんお褒めいただけて褒め殺しとはこういう事なのかと身をもって体験しました…。設定や世界観が好き、と言われたことや♡爆をされたことが初めてで嬉しさと照れが混じってくすぐったい気持ちです🫠 (2023年1月4日 0時) (レス) id: c583532045 (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢(プロフ) - Cmaさん» 読んでくださって私の話を好きと言ってくださるだけでも嬉しいのに、とっても詳しく感想を送ってもらえて本当に嬉しいです…！私が自給自足の為に書いた話が自分以外のサさんに夢を見ている人に届いてこんなにも喜んでもらえたということがとてもとても嬉しいです…🥲 (2023年1月4日 0時) (レス) id: c583532045 (このIDを非表示/違反報告)
Cma - お気に入りマークを押した1人として読んでいましたが、最新話の文章に胸を打たれてしまい思わず感想を書きました。これからもずっと読ませていただきます。お体に気をつけて頑張ってください。応援しています。 (2023年1月3日 23時) (レス) id: c457c5465c (このIDを非表示/違反報告)
Cma - コメント失礼します。つい最近この小説を見つけstmkw3のお話にのめり込んだ者です。緻密で美しくて柔らかいとても素敵な物語をありがとうございます。少し前にstmkw3にハマった身に染み渡っております。白昼夢さんの書かれるstmkw3がとても好きです。↑ (2023年1月3日 23時) (レス) @page45 id: c457c5465c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白昼夢 | 作成日時：2022年4月20日 17時
