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手に持っていた缶チューハイをベンチに置いて伊藤君の両肩に手を置くと今更自分の手が震えていることに気づいた。ぐっと距離を縮めると伊藤君の家の匂いが鼻を掠めた。唇を合わせると唇は形を変えてぴったりとくっつくように沿う。
先程までお酒で湿っていたはずであろう伊藤君の唇は俺を待っている間に、木枯らしによって乾いていた。少しかさついた唇は柔い。
手を繋ぐとかハグをするとかと同じように体の1部を合わせているだけなのに唇になるだけでこんなにも体が火照ってしまうものか。冷たくなっている体に反して汗はどっと溢れだす。
羞恥心を隠しながら遠のくと散々強請った当の本人は目を見開いて驚いている。
まさか伊藤君はキスされないとでも思ったのだろうか。お互い何も言えなくて終始気まずい沈黙が流れて空気を濁す。
「･･･なに。」
「えっ、あ、いや、ううん、こ、こういうものなんだなって。」
先にいたたまれなくなってしまった俺は沈黙を壊すために問いかける。さっきまではしゃいでいた伊藤君はすっかりアルコールが抜けて照れ照れと目を泳がせながら挙動不審になっている。
「もう今度からは酔った勢いでこんな事しちゃ駄目だよ。」
俺以外にこんな事をするなんてたまったもんじゃないしやっぱり俺じゃ駄目だから。伊藤君にはもっと可愛い女の子が似合うしもっとムードのある場所が好きそうだし。
まぁ、酔った勢いだし男同士だしノーカンという事にするだろう。忘れて欲しくは、ないけどさ。一抹の寂しさを感じているがこの出来事が何年か後になって話すネタにでもしてくれたらそれでいい。
最初で最後のこの出来事はお酒でやらかしてしまったエピソードになる。少しでも伊藤君の思い出に残れたのならそれがなんであろうとそれでいいじゃないか、うん。
今までもこれからと同じように俺のこの感情は押し殺して伊藤君の数少ない友達として接していこう。そう言い聞かせている俺を前に何かを噛み締めているようなよく分からない表情で呆然としている伊藤君はゆっくりと口を開く。
何故か俺を見つめている瞳には熱が帯びている、気がするんだけど。
「俺はこれからもA君にちゅーするから。」
･･･えっ？
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白昼夢(プロフ) - 嬉しすぎて混乱しているので乱文になってしまってすいません…🙇🏻♀️ 感想を送ってくださって本当にありがとうございます、とっても励みになります！これからも遅筆ながらにたくさんサさんの話を書いていくのでよろしくお願いします…！ (2023年1月4日 0時) (
レス) id: c583532045 (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢(プロフ) - Twitterのフォローもありがとうございます。Twitterでもたくさんお褒めいただけて褒め殺しとはこういう事なのかと身をもって体験しました…。設定や世界観が好き、と言われたことや♡爆をされたことが初めてで嬉しさと照れが混じってくすぐったい気持ちです🫠 (2023年1月4日 0時) (レス) id: c583532045 (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢(プロフ) - Cmaさん» 読んでくださって私の話を好きと言ってくださるだけでも嬉しいのに、とっても詳しく感想を送ってもらえて本当に嬉しいです…！私が自給自足の為に書いた話が自分以外のサさんに夢を見ている人に届いてこんなにも喜んでもらえたということがとてもとても嬉しいです…🥲 (2023年1月4日 0時) (レス) id: c583532045 (このIDを非表示/違反報告)
Cma - お気に入りマークを押した1人として読んでいましたが、最新話の文章に胸を打たれてしまい思わず感想を書きました。これからもずっと読ませていただきます。お体に気をつけて頑張ってください。応援しています。 (2023年1月3日 23時) (レス) id: c457c5465c (このIDを非表示/違反報告)
Cma - コメント失礼します。つい最近この小説を見つけstmkw3のお話にのめり込んだ者です。緻密で美しくて柔らかいとても素敵な物語をありがとうございます。少し前にstmkw3にハマった身に染み渡っております。白昼夢さんの書かれるstmkw3がとても好きです。↑ (2023年1月3日 23時) (レス) @page45 id: c457c5465c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白昼夢 | 作成日時：2022年4月20日 17時
