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「んん、よし！」
すっかりさらさらになった私の髪を見て満足そうにした幸司君にもそもそと上に乗り対面する。
「ふふ、甘えたさんだ。」
「甘えたさんだしわがままだよ。」
甘えたさん、だなんて可愛い言葉で私を形容しないでほしい。私はそんな可愛いお姫様じゃあないというのに。私は幸司君が思っているより可愛くない。幸司君が他の女の子と仲良くしてたら嫉妬するし最近忙しそうにしている事に素直に喜ぶことも出来ない。
「あぁ、ほら、そんな暗い顔しないで？」
俯いていた顔を上げるように大きな両手で掬われる。長い睫毛が瞬く。見つめられたその目には確かに鬱々とした生気のない自分の顔が写っている。
「ね、俺に何でもして欲しいこと言っていいんだよ。」
「じゃあ、キスしてほしい。」
そう強請れば触れるような口付けをされる。少し物足りない気分になっていると頬をゆるりと撫でられる。
短く切り揃えられた爪、細いのに骨張っている指、浮かんだ血管。どれもこれも好きだけれどその手の暖かさも手を握る力の強さも私だけが知っていればいい。
白磁のように滑らかな白い手は輪郭から頭に滑る。しなやかに曲がった指は私の髪を優しく撫でる。子供をあやすような手つきに恥ずかしくなって顔を見られないように幸司君のシャツの裾をぎゅうと掴んで抱きしめた。
「Aちゃんは毎日頑張ってて偉いね。」
先程まで触れ合っていた桜色の薄い唇から静かな吐息と共に欲しかった言葉を呟く。
「でもね、頑張りすぎないでほしいなぁ。」
鼻と目頭がじわじわと熱くなる。落ち着こうと息を吸っても震える喉からは浅い呼吸と声にもならない声が漏れ出る。さっきまではっきりと見えていた家具の輪郭はすっかりぼやけて、嗚咽と涙がとめどなく溢れる。
「大丈夫、大丈夫。いっぱい泣いていいからね。」
今まで溜めてきたものが全部形になって溢れてしまったように止まらない。それでも幸司君は泣きじゃくる私の背中を優しくさする。
上手く息を吸えないときも嗚咽しか出ないときも幸司君は泣き止むまでずっと抱きしめて頭を撫でてくれていた。腕の中で感じる暖かさはどんな温もりよりも優しく私を包んでくれた。大丈夫、頑張ってる、その言葉は呪文のように私の溜まったものを吐き出させる。
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白昼夢(プロフ) - カエデさん» カエデさんお久しぶりです！私の話や言葉遣いがお好きと仰っていただけてとっても嬉しいです☺️カエデさんのリクエストに沿ったお話が書けて、カエデさんに読んでいただいて幸せになっていただけたようで私も幸せです〜🎉 (2023年4月4日 2時) (
レス) id: c583532045 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - リクエストさせていただいたカエデです。引き金に指を掛けて、今 拝見させていただきました…！主さんの作るストーリーや言葉遣いがとても好きな上に自分の好きなシチュエーションでお話を見る事ができてとても幸せです。ありがとうございます！！ (2023年4月3日 3時) (レス) id: 1e00067a9a (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢(プロフ) - 里佳子さん» コメントありがとうございます🙇♀️お褒めの言葉を頂けてとても嬉しいです、こちらこそ里佳子さんの作品を毎回楽しく読ませていただいています😌遅筆ですがこれからも頑張ります☺️ (2022年4月6日 20時) (レス) id: c583532045 (このIDを非表示/違反報告)
里佳子(プロフ) - はじめまして。感想が浅くて申し訳無いのですが、もうめちゃくちゃ好きなお話ばかりです…。白昼夢様の語彙力が素晴らしくて、ドキドキしつつも感動しています！これからも応援させてください😌 (2022年4月6日 5時) (レス) id: 0670838cd9 (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢(プロフ) - のどかさん» 読んでいただけて嬉しいです！のどかさんにきゅんきゅんしていただけた小説を書けて良かったです☺️だいすきだなんてそんな、勿体無いお言葉をいただけて嬉しいです😌遅筆ですがこれからも頑張ります🙌 (2022年2月28日 21時) (レス) id: c583532045 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白昼夢 | 作成日時：2022年1月16日 21時
