私は都合よくなんてない。3rd

誰が許すか118 ページ18

全てが、スローモーションの様に遅くなった。




隣にいる仁花ちゃんが、怯えて、怖くて動けなくなっているのが目に映った。




声をかけても無駄。




そう判断して気づいたら





私は彼女に腕を伸ばしていた。





「ｯ！」





刺すような痛みが腕に走る。




いや、実際刺されたのか。




間一髪割り込んだ私の腕は、奇跡的に姫宮が刺そうとしていた位置と重なった。




血が少し、飛び散る。




刺されそうになった本人と刺そうとした本人両者ともが、床に座り込んだ。




その場にいる誰もが、放心状態。




あまりに突然のことすぎて、そうなるのは無理もない。





影山「てっんめぇぇええええええ！！！」





と思っていた矢先、馬鹿みたいな怒号が響く。




飛雄が鬼のような形相をして姫宮に向かう。




「飛雄！落ち着いて、死ぬわけじゃ、ないし。」




影山「馬鹿なんじゃねぇの？！」




「飛雄に言われたくないよ、それに。」




私のすぐ横にへたり込む姫宮に目線を合わせる。





そしてそのすぐあとに、乾いた音が鳴る。





刺されてない方の腕で、平手打ちをかました音だ。





「馬鹿か！私に何をしてもいい。けど、関係ない人間まで巻き込んでんじゃない！」





私が何かしないと、意味が無い。





飛雄にやらせちゃ、駄目だ。





飛雄じゃなくても、他の誰かじゃ駄目。





私自身と、姫宮の問題だ。





及川「Aちゃん、まずは血を止血しよう。誰か綺麗なタオル持ってきて。」




冷静な及川さんに指示を出されすぐに持ってこられたタオルで、ものすんごい圧迫された。





痛てぇ。





そのあと包帯を巻かれて、明日病院に行く流れになった。




でも、流石に自体の収拾がつかないまま終わるのはあれなので、最後になんか言おう、





そう思ったんだけど。





「「「「「ごめん！」」」」」





めっちゃ謝られてる。

誰が許すか119→←誰が許すか117

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す