お天気少女とヒミツの関係【勇次郎】

9枚目。 ページ10

勇次郎side。








勇「うん。そうだね。そういえば、花宮さんは、ピアノ弾けるの？」








なんとなく聞いてみると、『うん。まぁ、少しなら。』って言うから。









勇「じゃあ、弾いてみてよ。」









あ『うん。』








どうせ少しなんだろうと、タカをくくっていた。








改めてピアノに向き直る花宮さんの動作は、慣れていた。









ピアノに向かう真剣な眼差し、そっと手を添えて。









二人しかいない静かな音楽室にピアノの美しい音色が響き出す。









花宮さんが弾き始めたのは、きらきら星。

最初は、こんな幼稚な曲…とか思ってたけど、どんどんメロディーが変化していく。



いわゆる、変奏曲なんだろう。







その旋律は、僕を一瞬で魅了した。









そして、曲も中盤に差し掛かった頃、、、









ガラガラガラガラ…バタン。ガチャッ。









明らかに、ピアノではない音が音楽室に響いた。









それと同時にピタリと止まる演奏。









花宮さんと思わず顔を見合わせた。









勇「えっ…閉じ込められた…？」









嘘だろ？ピアノ弾いてたのにそんなことある…？









あ『ねぇ、嫌な予感がするんだけど。』









勇「たしか今日は、全部活休みだから生徒は少ない…つまり…」









あ『明日までここで過ごせってこと！？…まじか〜』








あーあー、とか言ってる彼女を見て、ふと思った。









今の状況は、密室で二人きり。


音楽室は、教室や職員室から離れている為、人は滅多にこない。


これって、花宮さんを惚れさせる絶好のチャンスなんじゃ…








項垂れている彼女に近づいた。








勇「ねぇ、寒いからとりあえず、これ。着とけば？」








あ『え？』









ブレザーを脱いで彼女に手渡す。



こんなのされたら、流石にね？惚れるよね？









勇「ほら、日も落ちてきたし。寒いでしょ？」









あ『いいよ。自分のあるし。それに、逆。』








勇「…は？」








逆逆！と言いながら、彼女はブレザーを脱ぎ出した。








勇「何して…」









あ『こっから脱出するに決まってんでしょ。ほら、これ持った持った！！さぁー、久しぶりに運動しますか〜』









僕に二人分のブレザーを押し付け、ぐーっと伸びをしたかと思うと彼女は、音楽室の窓の方に一直線に歩いていく。









いや、まさか…え？まじ？

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