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北斗side
「…私達、似た者同士なのかもですね」
北「え？」
どこか遠くを見るような彼女の目は、お酒を呑んだせいか少し潤んでいて。
緊張のあまりいつもよりハイペースで呑んだせいで回っていた酔いが、覚めていくのが分かった。
「あ、芸能人にこんなこと言ったら失礼ですよね笑」
北「芸能人とか一般人とか関係ないし。それと、敬語」
「あ……笑
……北斗くんに言ったあの言葉、私が言ってもらいたかった言葉なの」
北「Aちゃんが？」
「親の反対押し切って専門学校行ったって言ったの覚えてる？
あの時、とにかく勉強しなきゃ、技術上げなきゃって頑張ってたのに、先生にいつもダメだしされてね。頑張りなんて無駄なのかもなんて思いたくなくて、誰かに頑張ってるって認めて欲しかったの」
あの日のことは鮮明に思い出せるから、専門学校の話も覚えてる。
そっか、似た者どうしか。
だから惹かれたって部分もあったのかも。
北「ねぇ、Aちゃん。俺……」
ｶﾞｼｬﾝｯ!!
「あっ、」
手が滑ったのか、グラスを落としてしまったAちゃん。
北「ちょ、大丈夫？」
「ご、ごめんなさい」
北「触ったら怪我するから！店員さん呼ぼう」
割れたグラスと、床にこぼれたお酒を店員さんが丁寧に片付けてくれるのを、Aちゃんは申し訳なさそうに見ていた。
俺、あの時グラスが落ちなかったら、
なんて言おうとしてた…？
「あ…」
北「ん？あ、服濡れちゃってる」
俺はハンカチを取り出して、優しく拭いてあげる。
けど、意味無いな。これ。
「ほんとに毎回迷惑かけてごめんなさい…」
北「気にしなくていいから笑」
「ハンカチ、洗って返します…」
ほんとに気にしなくていいんだよ。
だってほら、おかげでまたAちゃんと会える…
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作者名：さくら | 作成日時：2024年2月9日 17時
