40 ページ41
「…ごめん、ありがとう」
楽屋のソファーに降ろしてもらいらお礼を言う。
謙社の表情は暗かった。
謙 「.....キス、されましたよね」
「っ......」
思い出したくもない、あんなこと。
謙「...上書き、してええ?」
「え、？」
聞き返す前に、私は謙社にキスされてた。
さっきとは違う...
なんて言うんだろ、この感じ…
謙「…」
至近距離で見つめ合う。
謙社の瞳から、目を逸らせない。
謙「Aちゃん...好きや」
「...それは、」
謙「多分一目惚れ。話したこと無かったあの頃から、好きやったんやと思う」
嬉しい。
ただ、純粋にそう思った。
だけど...
「.....ありがとう。気持ちは、嬉しい。
でも、私はアイドルとして、ファンの皆さんと向き合いたい。
だから......ごめん」
なんで、
なんでこんなに苦しいの？
謙 「...それがAちゃんの本当の気持ちですか？」
分からない。
なんでこんなにも告白されてドキドキしてるのか、
アイドルと、ファンと向き合いたいっていう気持ちがあるのは確かなのに、
なんで断るのがこんなに苦しいのか、
そんなの...
「..…分かんないよ、」
思わず逸らしてしまった顔に手を添えられて、謙社のほうに向けられる。
謙「俺、諦めませんから。少しでも可能性があるなら...Aちゃんを好きにさせてみせます」
「謙杜、」
謙「ちゃんと、ファンの皆のことも考えてるで？ そこまでアイドル軽く見てない。
やけど、それ以上にAちゃんが好きやって、守りたいって、一緒にいたいって思ってしまったんやもん。
こんな気持ちにさせたんはAちゃんですよ？
責任取ってくださいね」
ダメだよ…
決めたでしょ。
私はアイドルである限り、恋愛はしない。
事務所に入る時に、そう、社長とも約束したのに…
なんなの、この感情、
嫌だ、
まだこの感情には気づかないままでいたい...
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 213人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さくら | 作成日時：2023年3月11日 7時
