31(恭平side) ページ32
許せへんかった。
Aちゃんのハモリが聞こえず振り向くと、固まっていて、おかしいなと思って近づいた。
Aちゃんの視線をたどって目に入ったのは、1枚のうちわ。
恭「『Aなんかいらない。消えろ』って書かれてたうちわがあったんです」
大「は?」
恭「多分、俺を推してくれてるっぽい子やったんすけど、俺がAちゃんの異変に気づいて近寄ったのがいけなかったんです…
その子が『要らない』って、Aちゃんを睨みながら何度も言ってて…」
和「それ、どこの席?」
大「有り得へんのやけど」
流「ちょっ、2人とも落ち着いてや」
和「落ち着けるわけないやろ。Aを傷つけてんのやで?」
駿「やけど、感情的になっても何も出来ませんよ！」
怒って、今にも客席に出ていきそうな2人を流星くんとみっちーが止めてる。
もちろん、俺も同じ気持ちや。
多分、謙社も....
謙「……」
何も言わへんけど、手を固く握って唇を噛んでる。
流 「......とりあえず、楽屋に戻ろ」
流星くんの後ろをみんな続いた。
(Twi○ter)
@aaa
Aちゃん、途中から様子おかしかったけど、何かあったのかな
@bbb
Aに対するアンチのうちわ持ってる人見たんだけど
│
@ccc
私も見ました！
│
@ddd
恭平がそのうちわを見たあとから笑顔消えてた
@eee
メンバーが心配そうにAちゃんを見てた...
なにがあったん？
│
@fff
メンバーに迷惑かけんなよ
・
恭「おはようございます…」
「ん、恭平。おはよう」
恭「う、うん…」
次の日、クリスマスにあるライブに向けての練習があった。
レッスン室に入ると、ストレッチをしていたAちゃん。
まだ、他に人は来てないらしい。
恭「大橋くん、一緒やなかったんや」
「あー、和也は寝坊したらしい」
恭「間に合うん？」
「ギリってところやね」
いつも通りのAちゃん。
昨日は楽屋がピリピリしてて、気が気やなくて。
Aちゃんに話しかけようにも、なんて言ったらいいか分からへんで、
結局ろくに話せんかった。
今日のAちゃんを見る限り、アンチのことには触れて欲しくなさそうやな。
…気持ち、切り替えたんかな。
「恭平」
恭「……」
「きょーへい？」
恭「…ん、？何？」
「いや、水買ってこようかなーって。なんかいる？」
恭「…」
何も言いたくないなら、
触れられたくないなら、余計なことは言わへん。
けど…
恭「俺もついて行くわ」
せめて、そばで守らせて…
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作者名：さくら | 作成日時：2023年3月11日 7時
