あかいろくれよん

Valentine yt×ym ページ33

(｢夏、また君に恋をした。｣よりスピンオフ作品)


Y.N






そわそわ。



俺の家に遊びに来て、ブランケットにくるまってソファーに座ったきり動かないやま。


どうかしたんだろうか。



とりあえず温かいミルクティーを淹れて差し出した。


もそもそと手を出して受け取ったやまは、少し飲んだあと｢うぅ〜｣って言って俺を睨んだ。





中｢どうしたの、やま。｣


山｢なんで、なんにも言わないの。｣


中｢え、なに？｣


山｢バレンタイン、なのに。｣


中｢あぁ！もらった数競う？｣


山｢…何個もらったの。｣


中｢全部合わせて14ってとこかな。｣


山｢勝ったもん。15だったもん。｣





もんって…可愛いな、やま。





山｢で、いらないの？｣


中｢なにが？｣


山｢15個目！｣


中｢どこでもらってくるんだよ。｣





ハハハと笑った俺を睨みつけて、ブランケットの中に隠し持っていたのか小さな箱を俺の鼻先に突き付けた。





中｢…え？やまから？｣


山｢ゆうとくんはいらないみたいだから、いのおちゃんにあげちゃうけどね。｣


中｢待って、いるいる！｣


山｢なーんにも言って来ないんだもん。｣


中｢だから来てからずっといじけてたの？｣





図星だったようで、ぶわっと耳まで真っ赤になった。


…どうしよう、可愛い。俺末期だ。





中｢やま、ごめんね？バレンタインの日に一緒にいてもやまからチョコなんてもらったことなかったからさ。てっきり今年も無しなんだとばっかり…。｣


山｢…だって、ゆうとくん男の俺からもらって嬉しいのかわかんなかったんだもん。｣





なるほど、くれなかった理由もいいね、可愛いから許す。





中｢…やまからもらうものなら、なんでも嬉しいよ。｣


山｢うん、いのおちゃんもそう言ってたから今年はあげることにしたの。｣


中｢すーぐいのちゃんの名前出すんだから。｣


山｢拗ねんなよ、あげるからさ。｣


中｢チョコの数引き分けだね。｣





箱を受け取って、少し歪なリボンを外す。





蓋を取るとふわっとチョコレートの香りがして、中には可愛いトリュフチョコが三つ。


すごい、ほんとに手作りだ。





山｢どうよ、がんばったんだから。｣


中｢すごいよ、毎年ほしかった。｣


山｢残念、時間は巻き戻せません。｣


中｢じゃあ、来年もずっと一緒にいるって約束して。｣


山｢もちろん。もう離れないよ。｣








バレンタインに、甘い約束を。








Fin.


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