約束の場所 ページ5
K.N
まだ母さんも起きていない時間に目が覚めてしまった。
いつもは三度目の目覚ましが鳴るまで寝ているのに。
自分が山田くんと一緒に登校することをどれだけ楽しみにしていたかがよくわかった。
もう顔を洗って制服の準備もカバンの中身も確認したのに、まだまだ時間はある。
ランニングにでも行こうかな。
雨もあがったみたいだし、今の時間なら涼しくてちょうどいいはず。
.
やはり外はまだ誰も歩いていなくて、静かだった。
いつも見ている道が走っているだけでこんな風に見えるんだ、とか、ここって実は緩い上り坂なんだ、とかぼんやり考えながら走って行くと、いつの間にか河川敷のほうまで来ていた。
もうちらほら早番の人達が出勤し始めたころだったから人が通ってもおかしくはなかったけど、コンビニの中から知っている………というか昨日知ったばかりの人影がでてきて思わず｢あっ｣と声を出した。
山｢あー……健人？｣
中｢おはよう。早いね山田くん。｣
山｢お前のほうがな。俺はアイス買いに来たんだけど。｣
中｢なんか早く起きちゃってさ。｣
山｢ふぅん。｣
山田くんはもう既に買ったばかりのアイスを袋から一つ出して、口に運んでいる。
中｢昨日の猫、大丈夫だった？｣
山｢うん、タナカって名前だから今度遊んでやって。｣
中｢た、タナカ？｣
山｢俺は山田だろ？だから、アイツはタナカなんだよ。山田タナカ。｣
自慢げに話しているけど、山田くんのネーミングセンスはツッコミどころ満載なことがわかった。
山田は名字でタナカは名前になるんだろ？
山田タナカって、そんなことあるかよ。
動物病院のカルテ、それで書かれるからな。
山｢んじゃ、またあとで。｣
中｢そうだね。弁当忘れんなよ。｣
山｢え、おう。じゃあな。｣
タナカのことを少し考えながら玄関の扉を開けると、メイクにスーツのキメた母さんが弁当をつくってくれていた。いつも通りだ。
母｢おかえり。どこに行ったのかと思ったわよ。｣
中｢ちょっと目が覚めちゃったから、ランニングに行ってきたんだ。｣
母｢そうだったの、どおりでスッキリした顔してると思ったわ。シャワーでも浴びて来たら？私は今日はもうそろそろ出るからね。｣
中｢そっか。行ってらっしゃい。｣
母｢うん。行ってきます。｣
シャワーを浴びている最中、扉が閉まる音がしたので母さんは仕事に行ったんだろう。
今日も忙しそうだな。
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はる(プロフ) - 1番大好きな作品です！作者さんのことも気になってしまうぐらい好みの作風で、こんなに素敵な作品に出会えてとても幸せです！いつかまた幸せなknymちゃんが見れる日を楽しみにしています！ (2020年7月28日 23時) (
レス) id: 2fd3fc28ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翠雨
| 作成日時：2018年5月30日 1時
