卑しき狗は笑わない 肆

〃 ページ22

太宰「あと残ってるのは三人だね」


紅葉「太宰めの情報通りなら、猫好きと遠距離と長男の三人じゃの」



ニャーン



この鳴き声は一匹の動物でしかなかった。




太宰「猫」



その猫は薄い黄色の肌に黒眉、そして青い眼鏡をかけているどことなく癒される姿をしていた。



太宰「なにこれ」



『猫、だろう。どう見ても』



太宰「こんなのよりもはやく終わらせたいんだけど」



「あー、はやくAちゃんの愛妻弁当が食べてみたいなぁ〜」





まて、今話したのは誰だ。



紅葉「今話したのは、この子猫かのぉ？」



『そして、太宰、



なぜ顔が赤い』



あの猫が話したのかわからないが
何か声が聞こえると同時に
太宰の顔が茹で蛸のように赤く沸騰していた。



太宰「き、気のせいじゃないかなぁぁ〜？？」



「一緒に死んだら二人一緒になれるのにな」




もしかして、これ



『太宰の心の中？』




見てみるか。



【視報・想狗】



………やはり。



《はぁ〜Aちゃんと手とか繋いでみたいな〜、今度一緒に買い物も行きたいし
ご飯食べたいし一緒に寝たいし、
あわよくば心 中………(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o)))》




先ほどよりも混沌としていた。
これなら見ないほうが良かったような気もする。




《はぁ〜》




今のは……太宰じゃない？



《どうするどうする如何する
完全にエスパーニャンコの所為で俺の行くタイミングがずれた！！！
今行ったら「なにこの人」みたいになるに違いない！あーー！！！如何すればいいんだ》




…………うん。
声の方向からして猫が来たあの壁の裏側だろうけど、
なんだか怖い人じゃない気がする。



《なぁ〜んて、やっと気付いてくれたぁ〜？
主人殺しの猟犬さん？》



！！！！！
気付かれて、でも、なんで


ここから見えてるとは……



《俺らのボスの力だよ。君のお仲間は俺には気づいていない》



とか言ってるが、





『完全に見えてるぞ。そこにいる紫の奴』




「何故ばれて！！！」


紅葉「わしの鏡じゃよ」


少し前から合図を出して鏡をやってもらっていて助かった。



太宰「この人かな〜？この猫の飼い主は」



『太宰、ここは任せるぞ』



私は紅葉さんとともに紫の奴の横を通り抜けた。



「後で、買い物くらいは付き合ってやる」



太宰「！！！ やられたね」



太宰はまた顔を赤くしながらも



太宰「それなら張り切っちゃおうかなっ！」


嬉しそうに銃を構えた。

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