卑しき狗は笑わない 肆

佰弐拾陸 体目（126体目） ページ13

〜太宰達があれから何をしてたかっていうのを先に書いてしまいますね〜


《貴方視点》

隠し階段を下り、広い通路に出た。



『なんだこれ………』



「鉄格子だらけだね〜」


『そんなに気楽そうにするな。樋口と芥川がここにいるかもしれない。探そう』



「……………その必要はないみたいだよ」



太宰が指差す方には手錠をされている金髪の女の人………！？



『まさか…樋口！？』


「Aさん！！！」



樋口はいつも髪を結んでいるから分からなかった。

と、そんな事よりも
手錠を外してここから出すのが最優先だな。


『【斬灯・手錠、檻】』


ガシャンと音を立てて手錠と檻が壊れると樋口は真っ先に走り出していた。



「付いて行こうか」



『そうだな』



ーーー
ーー
ー



「……………アレ？」



そして走り回って約10分……



『まさか』


「迷いました」


「え、なんで迷うの」


「いたるところに鉄格子があって区別がつかないんです！！！」



『壁に手をついて行くとかは？』



「其れもやったのに迷ってます」


『「(何故に)」』



この通り、迷ったのだ。



『もう壁壊していくか？』


「デタラメにやってもさらに迷うだけだよ」


「私ってどこまで方向音痴なわけ……」



ひゅ〜、ひゅ〜、ひゅっ、ひゅ〜



一方通行の道から綺麗な
とぎれとぎれの口笛が聞こえるのだった。


其れはその道の横に一つ置いてある椅子に座る水色の着物を着た少女が吹いていた。


「下萠色の風が吹いて」


その少女が一つ言うと、立ち上がり私たちに向かった。


「お待ちしておりました」



少女はぺこりと会釈をした。


ーーーーーーーー
下萠色の風が吹いて、と
とぎれとぎれの口笛が聞こえるのだった、は

中原中也さんの詩、『冬の日』から引用しました。

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